国民老後資金毀損させるGPIFの罪状
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2019年度運用実績が発表された。
GPIFの2019年度運用実績は8兆2831億円の運用損になった。
運用利回りは-5.20%。
運用実績は4月1日には確定する。
遅くとも4月末には発表できるものだ。
しかし、発表は7月3日だった。
都知事選の投票日2日前。
選挙前というアリバイを作ったが、このことを取り上げて主権者にアピールする時間はない。
GPIFは2015年度にも巨額損失を計上した。
その発表は2016年7月29日まで先送りされた。
2016年7月10日に参院選が実施され、選挙の争点にされることを回避するための措置であったと見られる。
今回は批判を避けるため、選挙投票日直前の日程が選択されたと見られる。
2020年3月末の運用資産残高は150兆6332億円。
日本国民の貴重な老後資金である。
その運用においてGPIFは巨額損失を計上している。
そのGPIFが金融機関に支払っている管理運用委託手数料は319億円。
巨額の損失を生む運用に300億円を超す手数料を支払っている。
本年1-3月期の運用収益は17兆7072億円の損失である。
たったの3ヵ月で18兆円もの損失を生み出した。
GPIFが巨額損失を計上したのは本年1-3月期だけでない。
過去にも巨額損失を計上している。
GPIFは2014年10月31日に基本ポートフォリオの大幅変更を正式決定した。
この変更でリスク資産のウエイトを一気に上昇させた。
それまでは債券および短期資産での運用が全体の76%を占めていた。
株式での運用比率は24%だった。
外国資産での運用比率も23%に限定されていた。
この運用比率を一気に変えた。
株式での運用が全体の50%に引き上げられ、外国資産での運用比率も40%に引き上げられた。
低金利時代に高い利回りを確保するためには積極的な運用が必要であるとの判断から、このような変更が決定された。
ところが、GPIFが基本ポートフォリオを変更して以来、GPIFの運用実績は最悪の状況だ。
GPIFが基本ポートフォリオを変更して以降の2015年度から2019年度までの5年間の運用実績を見ると、この5年間のうち、2年間の運用実績がマイナスに転落している。
この5年間の運用収益は合計で6兆8039億円。
1年当たりの運用収益は1兆3608億円だ。
2012年度から2014年度までの3年間の運用収益は合計で36兆7351億円。
1年当たりの運用収益は12兆2550億円。
基本ポートフォリオ変更前の運用実績が変更後をはるかに上回っている。
現在の運用資産は約150兆円。
本年1-3月期にはたった3ヵ月で18兆円もの損失を生み出した。
たったの3ヵ月で国民の貴重な老後虎の子資金の1割が消滅した。
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にもGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の問題点を詳述した。
ゼロ金利時代、低迷経済の時代であるから、資金運用には特段の工夫が必要である。
長期運用において株式資産での運用を重視することは間違いとは言えない。
問題は数年に1度、1年に1度の頻度で発生する株価の中規模下落、大規模下落にどのように対応するかだ。
この点でGPIFの運用は無策に近い。
運用比率を決めて、あとは放置するだけなら、すべての資産運用をインデックス運用にするべきだ。
資産配分比率を決めて、インデックス運用にするなら、年間300億円もの管理運用委託手数料を支払う必要はない。
GPIF自身が運用管理を行えばよい。
資産を管理する最低限の委託手数料を支払えば済む。
GPIFも利権の温床になっている。
外資系金融機関を軸に巨額の管理運用委託手数料が支払われている。
政府が補正予算を組んで「持続化給付金」や「GOtoキャンペーン」を実施する際、そこに「委託手数料」を設置する。
白アリやハイエナがこの利権手数料に群がる。
「濡れ手に粟」の利権収入を得る構図だ。
これがそのままGPIFにあてはまる。
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