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2020年5月18日 (月)

審議先送りでも黒川検事総長実現では赤点

安倍内閣が検察庁法改正案の今国会での成立を見送る方針を固めたと伝えられている。

市民の行動が変化を引き起こす重要な事例となる可能性がある。

各種世論調査でも今国会での成立を急ぐ必要がないこと、検察人事に介入することはないとする安倍首相答弁を信用できないとする声が圧倒的に多い。

政治家、閣僚、総理大臣の刑事責任を追及する立場にある検察に対する人事介入は検察の独立性を破壊する行為であり容認されない。

日本の主権者が大きな声を上げるのは当然のことだ。

ただし、私たちは今回の問題の本質を見誤ってはならない。

今回の法改定に関して二つの異なる重大な問題が存在する。

第一は、安倍内閣が黒川弘務東京高検検事長を違法な勤務延長の手法で無理矢理検事総長に引き上げようとしていること。

法治国家の根幹を揺るがす不正を容認してはならない。

本年1月の勤務延長閣議決定は違法であり、これを撤回させることが必要だ。

第二は、法改定によって検察幹部について最長3年間の勤務延長を可能にすることの問題。

内閣が内閣の恣意で検察最高幹部の勤務延長を行うことは政治権力による検察への不当介入そのものだ。

検察官の特殊性を踏まえれば、このような恣意的人事を法律で正当化することは許されない。

法案の条文案そのものを変える必要がある。

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検察OBが法務大臣に提出した意見書に検察官の特殊性が明確に示されている。

「検察官は起訴不起訴の決定権すなわち公訴権を独占し、併せて捜査権も有する。

捜査権の範囲は広く、政財界の不正事犯も当然捜査の対象となる。

捜査権をもつ公訴官としてその責任は広く重い。

時の政権の圧力によって起訴に値する事件が不起訴とされたり、起訴に値しないような事件が起訴されるような事態が発生するようなことがあれば日本の刑事司法は適正公平という基本理念を失って崩壊することになりかねない。

こうした検察官の責任の特殊性、重大性から一般の国家公務員を対象とした国家公務員法とは別に検察庁法という特別法を制定し、例えば検察官は検察官適格審査会によらなければその意に反して罷免(ひめん)されない(検察庁法23条)などの身分保障規定を設けている。

検察官も一般の国家公務員であるから国家公務員法が適用されるというような皮相的な解釈は成り立たない。」

「これまで政界と検察との両者間には検察官の人事に政治は介入しないという確立した慣例があり、その慣例がきちんと守られてきた。

これは「検察を政治の影響から切りはなすための知恵」とされている(元検事総長伊藤栄樹著「だまされる検事」)。」

今回の検察庁法改正案は、検事総長、次長検事、検事正については、最大で3年間の定年延長をできるようにするもの。

検察最高幹部の例外的な定年延長を内閣の一存で3年間も認めるものになっている。

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この新制度が政治権力による検察に対する不当介入そのものであることは明白だ。

検察官の定年を65歳に引き上げることについては、公務員と同等に取り扱っても良いのではないかとの意見があるが、検察官は法曹資格を有する特別公務員であり、身分保障が一般公務員と比べて格段に強い。

検察官の定年を引き上げる理由はないとする意見があり、この主張が説得力を持つ。

この点は措くとして、今回の問題では、黒川氏に対する処遇と、検察最高幹部の定年を内閣が恣意的に3年も延長できるようにする制度変更の是非が問われねばならない。

今国会で法案採決が行われなくても、黒川氏の検事総長起用が断行されるなら、問題が解消されたことにならない。

黒川氏に対する本年1月の勤務延長閣議決定が違法なものであることを明らかにし、この閣議決定を撤回することが求められる。

その場合、黒川氏は退官せざるを得なくなり、検事総長就任は消滅する。

今国会で検察庁法改定が断行されなくても、黒川氏が検事総長に就任し、その後、臨時国会で法律改定が強行されるなら、問題は何一つ解消されないことになる。

仮に、今国会での法改定が行われなくなった場合、焦点は本年7月の検事総長人事に移る。

稲田伸夫検事総長は65歳の定年を迎えるのが来年8月だ。

7月の就任2年で退官しなければ、本年8月に黒川氏の勤務延長期間が満了する。

法改定が行われなければ、黒川氏の二度目の勤務延長を行う大義名分が立たない。

黒川氏の退官が決定する。

稲田検事総長は退官せずに、黒川氏の定年退官を誘導するべきだ。

日本の主権者は今国会での法改定見送りに安心してはならない。

黒川検事総長を阻止することが目下の最重要目標になる。

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