壊憲勢力封じ込め国民資産の憲法を守る
日本国憲法は1947年5月3日に施行された。
本日、満73歳の誕生日を迎えた。
世界的に見ても画期的な憲法である。
戦争放棄を明記した平和憲法である。
基本的人権の尊重、国民主権が定められている。
基本的人権については、
第十章:最高法規の章が設けられ、
第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
と定められた。
日本国憲法は日本が世界に誇ることのできる数少ない国民資産である。
制定過程ではGHQが主導的役割を果たした。
GHQは日本政府が検討した憲法草案が極めて保守的なものになり日本の体制刷新を実現せず、世論の支持を得ていないと判断し、憲法草案策定において主導的役割を果たした。
GHQが主導的役割を果たして制定された憲法であるから改正の必要があるとの主張があるが、理由が適正とは言えない。
憲法の内容の適否を判断するべきだ。
憲法の内容が適正であり、正当な手続きを経て制定されたものであるなら、GHQの関与そのものは本質的に重大な問題にはならない。
GHQによる対日占領政策は1947年に根本的な変化を示した。
この変化に伴いGHQ内部における主導権を握る部署が入れ替わった。
日本国憲法制定に主導的役割を果たしたのはGHQのGS=民政局である。
ところが、1947年にGHQの対日占領政策基本路線が転換し、GHQの主導権がG2=参謀2部に移った。
1947年の米国外交路線転換が背景だ。
米国の外交基本方針がソ連封じ込めに転換した。
1947年3月に米国のトルーマン大統領が議会に対して、ソ連邦を中心とした共産圏を明確に敵視し、その封じ込めをはかる世界政策(封じ込め政策)をとることを宣言した。
いわゆるトルーマン・ドクトリンである。
GHQで主導権を握っていたGS=民政局は日本の徹底的民主化を主導した。
財閥解体、農地解放、労働組合育成などの戦後民主化措置を主導したのはGSである。
そして、新生日本の骨格となる日本国憲法制定に主導的役割を果たしたのがGSなのである。
ところが、日本国憲法が施行された1947年5月には、米国の対日占領政策の基本路線が転換していた。
ここに日本国憲法の出自の秘密がある。
憲法制定が1年遅れていたら、日本国憲法はまったく違うものになったと考えられる。
1947年までの占領政策は「徹底した民主化」を特徴としたが、1947年以降の占領政策は「非民主化」=「反共化」に転換した。
1947年以降の米国対日占領政策と日本国憲法は相容れぬものになった。
日本国憲法の産みの親自身が変質してしまったからだ。
1947年以降の日本は「逆コース」を歩む。
戦後民主化が否定され、「非民主化措置」が主軸となる。
思想弾圧が強化され、日本の再軍備、戦前の軍人登用などが推進された。
戦後民主主義を尊重する者が日本国憲法を尊重し、戦後民主主義を否定し、反共化政策を推進する者が日本国憲法を敵対視するスタンスは日本国憲法の出自の秘密がもたらした産物である。
私たちは日本最大の国民資産である日本国憲法を守る責務を負っている。
長崎での原爆投下で被爆して妻を喪い、43才で早逝するまで被爆者の治療に命を注いだ長崎医大の医師である永井隆氏が、二児に残した遺言が「いとし子よ」だ。
このなかで永井氏は次の言葉を遺した。
「日本をめぐる国際情勢次第では、日本人の中から、「憲法を改めて戦争放棄の条項を削れ」と叫ぶ声が出ないとも限らない。
そしてその叫びにいかにももっともらしい理屈をつけて、世論を日本の再武装に引き付けるかもしれない。
もしも日本が再武装するような時代になったら、その時こそ、誠一よ、かやのよ。
たとえ最後の二人となっても、どんなののしりや暴力を受けても、きっぱりと戦争絶対反対を叫び続け、叫び通しておくれ。」
私たちは日本国憲法の価値を再認識して、この優れた憲法を守ってゆかねばならない。
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