すでに始動している日本のオーバーシュート
3月31日の1日で、新型コロナウイルスへの感染が新たに確認された人が133人であることが報じられた。
そのうち、東京都の感染確認者数は78人になった。
1日に確認された感染者数として、これまでの最高を更新した。
78人のうち、感染経路が判明していない感染者が40人以上となっている。
3月30日の東京都での感染確認者数が13人だったが、これは感染が縮小したことを意味しない。
検査数自体が少なかったのだ。
東洋経済サイトがPCR検査人数を取りまとめて公表している。
厚生労働省の資料「PCR検査実施人数」の数を集計したものである。
脚注に明記されているが、当初はPCR検査人数として疑似症サーベイランス(疑わしい症状がある患者への調査)だけの数字が発表されていたが、3月4日からは濃厚接触者に対する検査も含むため、同サイトでは3月4日以降のデータのみ掲載している。
また、日付は都道府県から厚生労働省への報告ベースとのことだ。
日ごとのPCR検査人数と累計検査人数の二つがグラフ表示されるようになっている。
スクリーンショットで紹介をさせていただく。
3月4日からの数値であるから27日間の累計ということになる。
26607を27で除すと985.4になる。
1日当たり985人にしか検査をしていないのだ。
表示される検査実施数に日ごとの大きなばらつきがある。
3月20日や3月24日の数値はいずれも3500人を超えている。
他方、ゼロに限りなく近い日も存在する。
検査を実施した日が正確に反映されておらず、複数日の検査がまとめて都道府県から厚労省に報告されたためであると推察される。
重要な数値は1日当たりの平均検査数だ。
安倍首相は2月29日の会見で
「PCR検査については、検査がしたくても保健所で断られ、やってもらえないという御指摘をたくさん頂いております」
「こうした取組を総動員することで、かかりつけ医など、身近にいるお医者さんが必要と考える場合には、すべての患者の皆さんがPCR検査を受けることができる十分な検査能力を確保いたします」
と述べた。
この発言から丸1ヵ月の時間が経過したが、「かかりつけ医の判断でPCR検査を受けることができる」ように、まったくなっていない。
11万以上も存在する日本の医療機関の0.8%にも達しない850の「帰国者・接触者外来」にしか、PCR検査実施の権限が付与されていない。
PCR検査を妨害して感染者数を少なく見せる対応がいまなお維持されている。
これを主導しているのは加藤勝信厚労相。
国民の命と健康を守ることに力を注がずに感染者数隠蔽に力を注ぐ加藤厚労相を直ちに罷免するべきだ。
国会では、感染ペースが拡大したら、かかりつけ医の判断でPCR検査を行う体制を各都道府県が構築することを検討するような答弁を示していたが、これすらやっていない。
肺炎で死亡したすべての患者に対してPCR検査が行われているわけではない。
コロナウイルスによる新型肺炎死亡者は公表されている数値よりもはるかに多い可能性がある。
味覚と嗅覚に異常があるだけで、それ以外の症状がない感染者が存在することも判明した。
このような感染者の感染確認のためのPCR検査を実施するだけで、感染者を多数確認することができる。
検査を行わなければ、軽症者、無症状者は自由に行動し、感染拡大の主役になる。
感染拡大を抑止するために、まず実行するべきことは検査拡充である。
当初から、このことを明確に指摘してきた医療ガバナンス研究所理事長の上昌弘氏は国会でも参考人として意見陳述した。
しかし、テレビメディアは上氏をまったく出演させなくなった。
検査を拡大しないから、感染拡大の実態が正確に把握されない。
このことが日本の悲劇を招く可能性が極めて高い。
悲劇の始まりの片鱗を示しているのが、妨害されたPCR検査結果から垣間見える惨状なのだ。
現在の日本は3週間前の英国であるとの正鵠を射た指摘を軽視するべきでない。
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