深刻な消費不況に移行している日本経済
2020年がいよいよ本格的に始動する。
2020年は海外での軍事紛争の勃発が警戒されるが、早速1月2日、米国がイランの革命防衛隊司令官を空爆で殺害したことが伝えられた。
司令官殺害はトランプ大統領の指示によるものであることを米国防総省が発表した。
このことについて安倍首相が何も発言しない。
重大刑事事件の被告であるゴーン氏が海外逃亡したことは日本の出国管理行政の大失態で世界の笑いものにされる事件だが、行政機構トップの安倍首相が説明責任をまったく果たさない。
説明責任も果たさず、年末年始に4回のゴルフに明け暮れるなら、直ちに首相の職を辞するべきだろう。
一国の行政部門トップとしての責務を果たしていると言えない。
安倍首相の2020年退陣は避けがたく、状況を見極めて早期に行動するべきだ。
このままでは日本の沈滞が進行し、復興が遅れるばかりである。
年初にあたり、2020年の日本経済の見通しを示しておこう。
誰も触れたがらないが、日本経済は深刻な不況に移行しつつある。
日銀短観が示す業況判断DIの読み方が難しい。
12月短観調査結果では、大企業製造業の業況判断DIが5ポイント悪化してプラスマイナス0になった。
他方、大企業非製造業の業況判断DIは1ポイント悪化のプラス20だった。
製造業の悪化は鮮明だが、非製造業の業況は依然として堅調である。
製造業と非製造業の著しい非対称性が特徴になっている。
製造業の場合、大企業の業況判断DIはプラスマイナス0だが、中小企業ではマイナス9、先行き見通しはマイナス12に落ち込んでいる。
非製造業は全体として好調だが、小売業では大企業でもマイナス3、中小企業ではマイナス12を記録した。
景気の振幅は一般的に製造業が大きい。
そして、製造業の変化が非製造業の変化に先行する場合が多い。
製造業は為替変動や海外経済の影響を強く受ける。
また在庫を保有するため、在庫の変動によって生産活動の浮き沈みも大きいものになる傾向が強い。
2019年に米国のトランプ大統領が中国に対して極めて強硬な関税率引き上げを実行した。
この影響で中国経済が強い影響を受けたが、その余波が日本にも押し寄せている。
また、安倍首相は韓国敵対視政策を推進しており、このことも日本の製造業や観光業に強い下方圧力を発生させている。
さらに、何よりも大きな変化が消費税率10%の強行実施によって引き起こされている。
日本の市民がこの増税の正体を正確に知っていたなら、増税が許される余地は存在しなかった。
ところが、日本の市民は正しい情報を得ることなく消費税増税を黙認した。
しかし、そのすさまじい影響が顕在化しつつある。
昨年11月15日の「政策連合」緊急院内集会で「不公平な税制をただす会」の荒川俊之事務局長が提示した数値を改めて記載しておこう。
消費税が導入された1989年度から2019年度までの31年間の税収推移を見ると消費税収累計が397兆円である。
これに対して、法人三税減収累計額が298兆円、所得税・住民税減収が275兆円だ。
消費税収累計額397兆円に対して法人三税および所得税・住民税減収累計額合計値は573兆円に達する。
この数値が消費税増税の真相=深層を鮮明に物語っている。
消費税大増税は法人税減税と所得税減税を実現するために実行されてきたものなのだ。
消費税は社会保障制度維持と財政再建のために推進されているという「国家の嘘」が流布されて、悲しいことに、この「国家の嘘」に洗脳されてしまっている人が多い。
現実には、財政再建にはまったく寄与しておらず、消費税が大増税されたのに社会保障制度は格段に貧弱なものに変質されている。
消費税は消費をすると消費金額の10%を強制的に召し上げるものだ。
消費すると激しい懲罰を受ける。
したがって、消費税という呼称を「消費懲罰税」に変更するべきである。
しかも、消費税は二重課税だ。
消費は所得税支払い後の可処分所得から行われる。
その際に、追加的に税金が強制徴収される。
日本の消費者は消費を徹底的に圧縮するだろう。
このことが何をもたらすのかは明白なのだ。
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