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2020年1月 8日 (水)

国際法違反のトランプ大統領イラン司令官殺害命令

私が執筆している会員制レポート『金利・為替・株価特報』2019年12月30日発行号に、2020年は海外での武力紛争発生の可能性が高まることを記述した。

http://uekusa-tri.co.jp/report-guide/

1月2日、米国防総省はトランプ大統領が指示してイラン革命防衛隊司令官を空爆で殺害したことを発表した。

米国とイランの緊張関係が一気に高まっている。

2017年4月、トランプ米大統領はシリア空軍基地に対してトマホークミサイル59基を打ち込む軍事攻撃を指揮した。

トランプ大統領は軍事オプションの活用に対して慎重な姿勢を示していたが、突然の軍事攻撃に踏み切った。

シリアがサリンを使った化学攻撃を行ったことが理由とされたが真偽は定かでない。

今回、トランプ大統領はイラン最高指導者ハメネイ師直属のイラン革命防衛隊の精鋭部隊である「コッズ部隊」ソレイマニ司令官殺害を指揮した。

ソレイマニ司令官は最高指導者ハメネイ師からの信頼が極めて厚く、イスラム体制を支持する国民の間で英雄視されてきた人物である。

単に対外工作を担っていただけでなく、イランの外交軍事政策決定に直接関与する重鎮だった。

イラン国民に与える影響力では実質的にイランナンバー2の地位にあったとの見方もある。

ソレイマニ司令官の遺体は1月5日早朝、イランに帰還した。

1月6日にイランの首都テヘランで行なわれたソレイマニ司令官らの葬儀には大群衆が参列し、祈りを主導した最高指導者アリ・ハメネイ師は司令官たちの棺を前に涙を流し、すべての者が「アメリカに死を」と繰り返した。

イラン国営テレビは葬儀に参列した巨大な群衆の人数を「数百万人」と伝えている。

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米国はイランの対外工作を担う精鋭組織のコッズ部隊を外国テロ組織と見なしてきた。

国防総省は、ソレイマニ司令官と指揮下の部隊が「米国や有志連合の要員数百人の殺害、数千人の負傷に関与した」としている。

昨年末、12月27日の有志連合基地への襲撃では米国人業者とイラクの要員が死亡した。

トランプ米大統領は1月3日、

「合衆国の軍は、世界随一のテロリスト、カセム・ソレイマニを殺害した空爆を完璧な精度で実行した」

と述べるとともに、

「ソレイマニはアメリカの外交官や軍関係者に対する邪悪な攻撃を間もなく実施しようとしていた。

しかし我々は、現行犯でそれを押さえ、あの男を終了させた」

と表明した。

この点に関して米国防総省は、1月3日の声明でソレイマニ司令官が「イラクや中東全域で米外交官や米軍要員を襲撃する計画を積極的に進めていた」とした。

しかし、米紙ニューヨーク・タイムズの記者はツイッターで、

「ソレイマニ空爆後に諜報内容の説明を受けた2人の匿名米政府関係者を含む消息筋の話」として、「アメリカの標的に対する攻撃が急迫していたと示唆する証拠は『かみそりの刃ほど薄い』ということだ」

と伝えている。

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ニューヨーク・タイムズは、米国人が死亡した12月27日の有志連合基地襲撃を受けて米軍幹部がソレイマニ司令官殺害を「最も極端な選択肢」としてトランプ大統領に提示したものをトランプ大統領が採用したと伝えている。

同紙は、国防総省は歴代大統領に非現実的な選択肢を示すことで他の選択肢に大統領を誘導する手法を採用しており、トランプ大統領がソレイマニ司令官殺害を選択することを想定していなかったとしている。

トランプ大統領は12月28日に司令官殺害を選択せず、親イラン武装組織への空爆を承認したが、その後にイラクの在バグダッド米大使館が親イラン民衆に襲撃される様子をテレビで見て司令官殺害を決断したのだという。

国防総省幹部がこの決断に衝撃を受けたとしている。

米国内では民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長が、「政権がイランに対する武力行動の実施を決定したタイミングとやり方、そしてその正当性について、深刻で喫緊な疑問が出てくる」と述べている。

米国でいえば、ペンス副大統領が突然、イランの武装ドローンによって殺害されたようなものだ。

ハメネイ師は1月3日のツイッターで「血で手を汚した犯罪者には厳しい報復が待っている」と発言している。

トランプ大統領の行動はすべてが大統領選への影響を考慮した「計算ずく」のものになっているが、強い態度に出れば相手が必ず引き下げるとの判断は、日本以外には通用しない。

今後の不測事態発生のリスクが格段に上昇したと言える。

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