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2019年12月22日 (日)

公的企業営利化で私的利益を追求するシロアリ族

「民営化」とは「営利化」のことである。

「公営」の最大の特徴は「非営利」である。

ここに最大の相違がある。

人々が生きてゆくうえで、どうしても必要な事業がある。

しかも、その事業が独占形態になる。

このような事業においては事業運営を公的に管理することが合理的だ。

「公営」は「非営利」で利益を得ないから、その分サービスを安価に提供できる。

公的事業の経営に携わる者は公務員あるいは準公務員であるから公務員の給与規定に基づく賃金が支払われる。

法外に高い賃金、報酬は支払われない。

民営化された企業の場合、利益は配当と役員報酬と内部留保のかたちで処分される。

この利益分だけが公営事業よりも高いコストになる。

民営化が推進されるのは、民営化された企業の経営トップに居座り、高額報酬を獲得しようとする者が多いからだ。

公営事業だと事業を効率的に行おうとするインセンティブが低く、事業の効率が悪くなるというのは、取って付けた口実だ。

民営化を推進している人物が民営化された企業の経営トップに居座り、法外な高額報酬を懐にしているとうのが民営化の実態である。

典型的な事例がJR東海だ。

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旧国鉄職員であった葛西敬之氏は民営化を積極的に推進し、1987年に民営化されたJR東海に移籍し、1990年に代表権を持つ取締役副社長に就任した。

爾来、30年近くにわたってJR東海の代表権を握って離さない。

社長、会長を歴任し、名誉会長に退いたのちも代表権を離さない。

民営化というよりも私物化と表現する方が適切だろう。

事業効率を高めるための「民営化」というのは表向きの大義名分で、この「民営化」によって私的な利益を獲得しようとする者が群がる。

主権者に必要不可欠な財やサービスを提供し、しかも、独占形態になる事業は、公的に管理することが望ましい。

親方日の丸で経営努力が不足するとの問題については、公的管理下での事業効率引き上げのための制度的な工夫をすればよい。

あるいは株式会社形態を採用するのであれば、その企業を政府の管理下に置いて、配当を行わない、利益を出さない、役員に対する報酬を制限するとの措置を設けるべきだ。

公的管理下に置く企業として政府が監視するべきなのだ。

「民営化」の名の下に私的な利益が追求されてきたのというのが日本の民営化の歴史である。

「公がやるべきものは公に」

「民がやるべきことは民に」

が正しいのであって、

「民でできることは民に」

は間違っていることを確認しなければならない。

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郵政三事業が民営化されたが、結局この民営化も、私的な利益獲得を目指す人物や勢力によって、日本の国民資産が食い荒らされてきたというのが実態になっている。

貯金事業、保険事業、郵便事業が民営化されたが、民営化を指令したのはハゲタカ資本だ。

ハゲタカ資本は日本の郵政グループが保有する350兆円の国民資金と日本最大級の一等地不動産資産に目を付けた。

民営化が行われれば、民営化企業の役員ポストという個人的な利権が大量に提供される。

民営化を推進する者は、この民営化企業役員ポストという巨大利権の獲得を目指す。

民営化を推進する官庁は、最重要の天下り先として民営化後企業の役員ポスト獲得に全力を挙げる。

民営化の最大の目的が民営化企業の役員ポスト獲得という利権になっている点を主権者ははっきりと知る必要がある。

だからといって、民営化企業の役員ポストから官僚を排除すればいいというものではない。

官僚の天下りを排除する一方で民間人を登用しても、これは民営化企業の役員ポスト獲得という利権が公務員から民間人に移動するだけで、本質は変わらない。

日本郵政グループの民営化企業の役員に公務員OBが多数就任している。

これを排除して民間人を起用するのが正しい選択とは限らない。

重要なことはプロパー職員を経営幹部に起用すること。

民営化企業の役員ポストが民営化に伴う最大の利権であることを認識した対応が必要不可欠である。

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