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2019年12月 8日 (日)

国民を不幸せにする安倍政治に終止符を打つ

消費税の税率が10%に引き上げられて、もっとも深刻な影響が広がっているのは所得の少ない階層である。

平年度ベースで増税規模が5.2兆円であるのに対して、増税対策が2.3兆円実施されたから、増税の影響は約3兆円規模に圧縮される。

しかし、10年単位で考えれば、増税規模52兆円に対して増税対策2兆円で、増税規模は50兆円ということになる。

増税対策は目先の目くらまし対策に過ぎない。

増税対策の中心はキャッシュレス決済に対するポイント還元等であり、個人消費は現金決済の小売店からキャッシュレス決済の販売店に大きくシフトしている。

他方で、クレジットカードやスマホでの決済をする手段を持たない個人は増税対策の恩恵から完全に取り残されている。

零細な小売店はキャッシュレス決済への対応ができない。

この零細な小売店から顧客が遠のいている。

生活必需品を無税にするなら所得の少ない階層への対策になるが、8%と10%の複数税率では所得の少ない階層への負担軽減にはつながらない。

所得の少ない人々は収入金額のほぼ全額を消費に充当する。

消費税負担は収入金額の10%に接近する。

汗水流して働いて獲得する収入の1ヵ月分以上のお金が消費税で巻き上げられてしまう。

収入が10億円の富裕層が1億円消費する場合、収入金額に対する消費税負担率はわずか1%にとどまる。

生活必需品が無税ではない消費税率10%の制度は所得の少ない人々の生活を破壊する「悪魔制度」である。

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12月6日に10月の景気動向指数が発表された。

指標となる一致指数は前月比5.6ポイント低下して94.8となり、2013年2月以来の低水準を記録した。

速報値でデータ利用が可能な生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の7系列のすべてが悪化した。

同指数から機械的に決定される基調判断は3カ月連続で「悪化」になった。

景気動向指数の「悪化」判断は、景気後退の判断と基本的にはリンクする。

一致指数の前月比マイナス幅は2011年3月以来の大きさで、過去3番目となる。

先行指数も、最終需要財在庫率や鉱工業生産財在庫率、新設住宅着工床面積、中小企業売上見通しが悪化した。

2019年10月の小売業販売額は前年同月比で9.1%も減少した。

鉱工業生産指数は前月比4.2%減少した。

出荷に対する在庫の水準を示す在庫率は本年4月から8.5%も上昇した。

労働者一人当たりの実質賃金指数は本年1月から8月まで前年水準割れが続いた。

9月と10月のみ+0.2%、+0.1%になったが、通年では前年比1%程度の減少となる可能性が高い。

消費税増税の影響は軽微であるとの風説が流布されてきたが、事実は違う。

消費税率10%で日本経済には木枯らしが吹き荒れている。

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こうしたなかで株価が暴落していないが、その理由は企業利益だけが膨らんでいるからだ。

法人企業統計に基づく計数では、2018年度の法人企業当期純利益は2012年度の2.26倍に達した。

一人当たり実質賃金が5%も減少した一方で、法人企業の利益が2倍以上に激増したのである。

アベノミクスの下での日本経済は極めて不調である。

経済活動の総合成績である実質GDP成長率平均値は+1.3%で民主党政権時代の+1.7%をはるかに下回る。

一人当たり実質賃金の大幅減少は日本経済不調を端的に示すものだが、この経済大不調のなかで、企業利益だけは倍増以上の増加を示した。

アベノミクスは「成長戦略」を看板に掲げたが、その「成長戦略」とは「大企業利益の成長戦略」であって、「国民利益の成長戦略」ではない。

企業利益と国民利益は相反する。

企業利益を拡大させるための最重要の方策は労働コスト削減だ。

アベノミクスが推進してきた最重要の施策が「労働コスト削減推進」である。

安倍内閣は労働政策を全面的に見直してきた。

具体的には、1.正規から非正規へのシフト加速、2.長時間残業合法化、3.残業代ゼロ雇用制度拡大、4.外国人労働力導入拡大、5.解雇規制緩和、を推進してきたのだ。

その結果、労働者が下流へ下流へと押し流されてきた。

安倍内閣は雇用数が増えたことをアベノミクスの成果だとアピールするが、増えたのは低賃金の非正規雇用ばかりだ。

国民を不幸せにする安倍政治に終止符を打たなければならない。

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