立憲民主国民民主国会対応が腰砕けである理由
臨時国会最大の焦点は日米FTA(自由貿易協定)である。
安倍内閣は日米TAG(物品貿易協定)だと強弁しているが、米国は日本との交渉対象は物品貿易以外にサービスなどの重要分野を含むものしとしている。
“a Japan-United States Trade Agreement on goods, as well as on other key areas including services”
米国政府は交渉目的として22分野を議会に通知しており、そのなかの物品貿易とデジタル貿易の取り決めが先行して決定され署名が行われた。
米国政府は2020年春から残りの分野の交渉を行うこととしている。
安倍内閣は米国の指令に対して抗する姿勢をまったく示していない。
すべてが米国の言いなりなのだ。
そもそも安倍首相は2016年末に米国を含むTPPの批准を強行した際、TPP最終合意は一切見直ししないと明言した。
最終合意を見直さない限り、TPPから米国が離脱する場合にはTPPの発効は不可能になる。
この点を問われると、米国がTPPから離脱した場合には、米国をTPPに引き戻すと明言し、日米間のFTA交渉はやらないと明言した。
ところが、実際に米国がTPPから離脱すると、日本が率先して最終合意を米国抜きのTPPに書き換えたのである。
米国にTPPに戻るよう働きかけることもなく、米国のトランプ大統領から日米FTA交渉を始めるぞと宣言されると、何の抗弁もせずに、その指令に服従しているだけだ。
中国も北朝鮮も米国と交渉する際には、国益を守るためにギリギリの対応を示している。
安倍首相の姿勢は単なる米国への隷従、追従であって、これでは日本の主権者の利益を守ることなど不可能である。
日米間で行われている交渉は紛れもないFTA交渉である。
国会答弁で安倍首相は日米FTA交渉には応じないと明言してきたのであるから、これを踏みにじる行動は許されない。
このような政府・与党のでたらめを正すのが野党の責務である。
今国会における最重要の法案が日米FTA批准案である。
この重大審議事項があるなかで噴出したのが桜疑惑だ。
政府主催の「桜を見る会」を安倍首相が完全に私物化していた実態が明らかにされた。
また、安倍首相の事務所が主催した「前夜祭」で後援会関係者に飲食饗応の利益供与が行われた疑いが浮上した。
安倍首相の説明責任は極めて重い。
安倍首相は安倍内閣の閣僚が相次いで辞任に追い込まれたことに関して、疑惑を持たれた者は、内閣にある者もそうでない者も、与党と野党とにかかわりなく、説明責任を果たすことが必要であると強調した。
その安倍首相自身が説明責任を果たしていない。
野党は安倍首相出席の予算委員会での集中審議を求めた。
ところが与党はこれに応じない。
与党が応じないのは与党のトップを務める安倍氏の意向を反映したものである。
野党はこのような局面でこそ強い態度を示すべきである。
首相出席の集中審議開催を与党が受け入れないのであれば、すべての国会審議に応じないとの強い姿勢を示すべきであった。
ところが、立憲民主党と国民民主党の衆議院国会対策委員長は自民党の国会対策委員長と11月13日に会談を行い、11月15日の委員会での採決、11月19日の衆議院本会議での採決を容認してしまった。
その結果、日米FTA批准案が衆議院を通過してしまった。
立憲民主党と国民民主党が日米FTA批准をアシストしているとの批判が生じるのはやむを得ない状況だ。
この批判が耳に届いたからか、野党が国会審議をストップさせる行動を示した。
批准案は現在参院での審議途上にあり、12月9日の臨時国会会期末を控えて、批准成立が秒読みの状況にある。
野党は安倍首相出席の予算委員会での集中審議を求めるべきだ。
疑惑は広がっており、安倍首相が説明責任を果たすべきことは当然だ。
ところが、立憲民主党と国民民主党は再び不可思議な撤退を示した。
ジャパンライフ元会長が「桜を見る会」に招かれた枠が首相推薦枠であったことを政府が示唆しただけで審議拒否の旗を降ろしたのである。
野党の対応の腰が引けている。
いま解散総選挙になれば、立憲民主党と国民民主党は壊滅的な結果に直面するだろう。
これを恐れて安倍首相の疑惑に対して毅然とした対応を示せない。
これでは、日本政治の刷新は夢のまた夢ということになってしまう。
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