JP保険不正販売とかんぽの宿不正払下げ事案の接点
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に「民営化」問題について詳述した。
「民でできることは民に」
のフレーズ下で民営化が推進されたが、この考え方自体が誤りだ。
「民がやるべきことを民に」
でなければならない。
「公がやるべきことは公に」
でなければならない。
「民営化」は巨大利権である。
公的企業を民営化すると経営トップが高額報酬を受け取れる。
公的企業幹部が熱心に民営化を推進する第一の理由がここにある。
かつて国鉄が民営化されたが、民営化に伴い、民営化鉄道会社のトップに就任し、経営最高ポストを数十年にわたり握って離さないような人間まで現れている。
「自分の利益のための」民営化だったのだ。
必需品・サービスであり、独占が許されている事業であれば、事業として成り立たないことがない。
国家が巨大な投資によって築いた事業を受け取れば、資本はリスクなしに巨大な利益を確保できる。
「民営化利権」に多くの巨大資本と守銭奴が群がるのだ。
郵政民営化は350兆円の郵政マネー、郵政保有の巨大不動産、郵政が展開する新事業の巨大ビジネス利権を簒奪(さんだつ)するために、ハゲタカ資本が小泉純一郎内閣に指令したプロジェクトである。
2005年4月に閣議決定された郵政民営化関連法案において、法案決定の直前に竹中平蔵氏の指示で「かんぽの宿」などの売却規定が法律案に盛り込まれたと関係者が証言している。
この点に関連することを竹中氏が自身の著書のなかで記述している。
「メルパルクホールやかんぽの宿等、本来の仕事、つまりコア事業でない(したがって競争力もない)ものは資産を処分して撤退するべきだと判断した。」
かんぽの宿は旅館ビジネスの一つであり、本来業務ではないから資産を処分して撤退するとの主張だ。
しかし、この内容は竹中氏の別の場での発言と矛盾する。
竹中氏は2008年3月、不動産会社森ビル子会社「アカデミーヒルズ」が実施したパネルディスカッションで次のように発言している。
「ここ数年で東京の開発がすごく進みましたが、六本木ヒルズを除けば、ほとんどがJRなどの跡地開発です。そうした開発しやすいリソースが今後、どのぐらい出てくるんでしょうか。
一つは郵政がありますよね。ものすごい資産を持っていますから。
ところが、これまで法律で定められたこと以外はできなかった。
東京駅前の一等地にありながら東京中央郵便局の有効利用ができないのは郵便と貯金とかんぽしか、やっちゃいけないからです。
不動産事業はできなかった。しかし民営化すれば、それができるようになる。」
こう述べて、郵政グループは民営化後に本業以外の事業に進出できることをアピールした。
2009年1月、かんぽの宿不正売却事案が発覚した。
「かんぽの宿」79施設が109億円という破格の安値でオリックス不動産に売却されることが明らかになった。
所管の鳩山邦夫総務相が「国民が出来レースと受け取る可能性がある」と発言して待ったをかけ、結局、不正廉売は未遂事案にとどまった。
売却対象になった79施設は、かんぽの宿69施設、ホテル型宿泊施設のラフレさいたま、首都圏社宅9施設。
79施設の固定資産税評価基準額は857億円、売却対象のひとつに過ぎないラフレさいたま一施設だけで時価は100億円程度と見られた。
オリックスグループの経営トップであった宮内義彦氏は郵政民営化の具体化に先だって郵政民営化を検討していた規制改革会議の議長として郵政民営化問題に関わった。
宮内氏は著書『経営論』のなかで次のように記述した。
「『かんぽの宿』は料金のわりに施設が充実しているため主婦層を中心とした顧客基盤をしっかりと築いています。こうした施設で民間のホテル、旅館業が対抗していくのは容易ではありません。国民の税金をもとにした膨大な資金力を背景につくられていますから一介の私企業が、かなうはずもありません。そもそも、なぜ国の機関が宿泊事業をしなければならないかを根本から問い直すことも必要でしょう」
日本郵政は初めからオリックスにかんぽの宿を不正廉売することを目論んでいたのだと推察される。
三井住友銀行出身の西川義文日本郵政社長の下でこのプロジェクトの責任者を務めたのが日本郵便現社長の横山邦男氏である。
生命保険商品の不正販売を行ったのは日本郵便株式会社で、その経営トップが横山邦男氏である。
最大の責任を負う横山邦男氏の引責辞任は避けて通れないが、責任問題処理があまりにも遅い。
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