バブル崩壊から30年でも浮上できぬ日本経済
30年前の今日、1989年12月29日、日経平均株価は38915円で引けた。
これが日本の株価史上最高値である。
30年が経過した2019年12月27日の日経平均株価終値は23837円。
30年前の株価より4割も低い。
これが日本経済30年間の総決算だ。
1994年の名目GDPを100として、その後の推移を検証すると、米英の名目GDPは250から300の水準に拡大した。
独仏では200の水準に到達している。
ただ日本だけが1994年の水準からほとんど浮上できずにあえいでいる。
日本の名目GDPは2009年に中国に抜かれた。
日本は世界第2位の経済大国から転落した。
中国のGDPは1995年には日本の7分の1の水準だった。
それが14年で追い抜かれ、さらに6年後の2015年に日本の名目GDPが中国の半分以下になるまで水を空けられた。
1人当たりGDPの水準で日本は2000年に世界第2位の地位にあった。
そのランキングが2018年には世界第26位に凋落した。
韓国のランキングは2000年が35位、2018年が31位である。
安倍内閣は韓国敵視政策を推進する。
米国に対するひれ伏す姿勢の裏返しとして韓国に対して居丈高に振る舞う姿は哀れでもある。
2000年時点では日本と韓国の一人当たりGDPの水準に大きな開きがあったが、いまやほぼ同列に転じている。
次世代通信技術5Gの特許出願件数では中国が34%を占めて独走し、次いで韓国が25%のシェアを確保している。
次いでフィンランドと米国が15%を確保、スウェーデンが8%と続き、日本は5%の6位に低迷している。
しかも、特許を出願している日本企業の資本の過半が外国資本に握られている。
第2次安倍内閣が発足したのが、いまから7年前。
日経平均株価は8000円の水準に低迷していた。
その株価が24000円にまで上昇したから、第2次安倍内閣が発足してから株価は3倍の水準に上昇したことになる。
これが、安倍内閣がアピールする唯一の成果と言ってもよい。
株価が上昇した背景に企業利益の増加がある。
法人企業統計に基づくと、日本の法人企業(全産業・全規模)の当期純利益は2012年度から2017年度までの5年間で2.3倍の水準に激増した。
企業収益が激増し、これを反映して株価が3倍水準に上昇したのである。
これだけを見ると安倍内閣の経済政策が成功したとの錯覚を生み出してしまう。
しかし、そうではない。
2012年に株価が超低迷していたのは、菅直人内閣と野田佳彦内閣の責任だ。
この二つの内閣が主権者との約束を踏みにじって消費税増税を強行制定した。
財務省の言いなりになって超緊縮財政運営を展開した。
安倍内閣が発足当初に超緊縮財政を修正したことは正しかったが、その後は消費税大増税路線に転換してしまった。
安倍内閣の下で企業収益が激増し、株価が大幅上昇したのは事実だが、肝心の日本経済全体を見ると悲惨な現実が浮かび上がる。
四半期毎に発表される日本の実質GDP成長率(年率換算)の単純平均値では、第2次安倍内閣発足以降は+1.3%になる。
これは民主党政権時代の+1.7%を大幅に下回る。
菅内閣、野田内閣の下での日本経済は、文字通り真っ暗闇だった。
超低迷だったが、安倍内閣下の日本経済の超低迷はこれを上回る。
戦後日本で最悪の経済状況が続いていると言って間違いない。
その経済低迷下で企業利益が倍増し、株価が3倍水準に上昇した。
国民が素直に喜ぶことの出来る株価上昇ではない。
安倍内閣は主権者国民の大多数の身上である労働者の処遇を劣悪化することによって大企業利益を激増させた。
株価上昇は経済好調の反映ではなく、労働者の苦しみの反映なのだ。
それでもその株価がバブルのピークよりも4割も低い水準にとどまっているのだ。
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