伊藤詩織さん民事訴訟で山口敬之氏に勝訴の判決
元TBS記者の山口敬之氏に乱暴され、精神的苦痛を負ったとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが山口氏に対して1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が12月18日、東京地裁で示された。
東京地裁の鈴木昭洋裁判長は「酩酊状態の原告と合意のないまま性行為に及んだ」として山口氏に330万円の支払いを命じた。
訴状では、伊藤さんは2015年4月に都内の飲食店で山口氏と会って酒を飲んだ後に記憶をなくし、ホテルの客室で乱暴されたとしている。
伊藤さんは警視庁高輪警察署に被害届を出し、高輪警察署は山口氏に対する逮捕状を請求。
裁判所が山口氏に対する逮捕状を発付した。
2015年6月8日、複数の捜査員がアメリカから成田空港に帰国する山口氏を準強姦容疑で逮捕するため、空港で待ち構えた。
ところが、そこに警視庁から逮捕中止の命令が入り山口氏の逮捕が見送られた。
中止命令を出したのは警視庁刑事部長(当時)の中村格氏である。
中村格氏は菅義偉官房長官の右腕ともいわれる人物だ。
中村格氏は「週刊新潮」の取材に対して、山口氏に対する逮捕状執行中止命令について、「私が決裁した」と認めている。
山口氏は逮捕を免れて書類送検されたが、この事実が公表されぬまま、2016年7月に不起訴とされた。
山口氏は事件を背景にTBSを退職し、フリージャーナリストになっていた。
そして、検察が山口氏を不起訴とした2016年7月の1ヵ月前の2016年6月9日に安倍首相を礼賛する『総理』(幻冬舎)というタイトルの著書を刊行した。
2016年6月には参議院議員通常選挙が公示されている。
安倍首相は2016年5月末の伊勢・志摩サミットで「世界経済の状況がリーマンショック前に似ている」との事実誤認の説明をし、これを根拠に2017年4月の消費税増税を2年半延期することを決定し、参院選に臨んだ。
この選挙に合わせるように、安倍首相礼賛の『総理』というタイトルの山口敬之氏の著書が公刊された。
伊藤詩織さんが最初に記者会見を開いたのは事件から2年後の2017年5月。
山口氏に対する逮捕令状が発付されたにもかかわらず逮捕令状の執行中止命令が出され逮捕が見送られ、証拠不十分だとして山口氏が不起訴処分とされたことへの不服を検察審査会に申し立てたことを公表した。
英国の公共放送BBCは、2018年6月28日、伊藤詩織さんの事件を取材したドキュメンタリー番組「Japan's Secret Shame(日本の秘められた恥)」を放送した。
番組は山口氏について、事件当時は日本の有名テレビ局のワシントン支局長で、安倍晋三首相を好意的に描いた人物伝の著者だと紹介した。
また、伊藤氏と山口氏を取材した記事を2017年12月に発表した米紙ニューヨーク・タイムズのモトコ・リッチ東京支局長の、
「(山口氏と安倍首相の近い関係から、)この事件に政治的介入があったのではと大勢が指摘している」
のコメントを紹介した。
伊藤さんは12月18日の東京地裁判決後、集まった支援者に「ありがとうございました。正直、勝訴と聞いても、うれしい気持ちにはなかなかならなかったんですけど…でも、このプロセスが大事だと思って。いろいろな方に支えていただいた」と涙ながらに感謝の言葉を述べた。
伊藤さんは「長かった…長かったです」と苦しい日々を思い起こし、涙を流した。
「私の見ているこの景色は、以前と全く違うもの。まだまだ司法がきちんと関わらなければ、こういう事件はなかったことにされてしまう。法律、報道の仕方、教育…まだまだ宿題はあると思いますが、これをひとつのマイルストーンとして、皆さんとひとつひとつ、考えていけたら」と訴えた。
そもそも、2015年6月の逮捕令状執行中止命令が不可解極まりない。
私は安倍内閣が長期間存続してしまっている理由を三つ挙げている。
安倍内閣がメディアを不当支配していること
安倍内閣が刑事司法を不当支配してしまっていること
日本の主権者国民の対応がぬるいこと
である。
伊藤さんの事件の問題は、日本の刑事司法の腐敗、崩壊に関する一事例である。
山口氏が控訴する意向を示していることから裁判所の今後の行動にも強い監視を注ぐ必要がある。
暗い闇に包まれている日本社会であるが、今回の民事訴訟での判決は、この暗闇に一条の光を差し込ませるものだ。
日本のブラックな体質についてのさらなる考察が求められる。
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