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2019年11月 2日 (土)

民間英語試験利用は延期でなく中止すべし

萩生田光一文科相が大学入試への英語民間試験の導入延期を発表した。

萩生田文科相は英語民間試験についてBSテレビ番組で「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」と発言して批判を集めていた。

この発言を契機に英語民間試験に対する世間の関心が高まり、制度の不備、問題点が広く認識されるに至った。

英語民間試験をめぐっては、経済状況により受験機会に差が出たり、地域によって試験会場が都市部に限られたりするなど、受験生の間で不公平が生じることが指摘されていた。

これらの問題を重視した主要野党は10月24日に導入を延期する法案を衆院に提出した。

萩生田文科相が「身の丈」発言を示したのが同じ10月24日だった。

結局、萩生田氏は発言の撤回と謝罪に追い込まれるとともに、大学入試への英語民間試験の導入延期発表にまで追い込まれた。

英語民間試験の利用そのものに極めて重大な問題がある。

その問題点を端的に示す言葉が「身の丈」である。

萩生田文科相の発言は、英語民間試験が受験性の経済力によって大きな有利、不利の差を生み出すことについて、その格差を肯定するものだった。

しかし、この点に対する批判が強まり、試験利用を延期せざるを得ない状況に追い込まれたわけで、大臣失格ということになる。

民間試験利用というが、1回の試験の受験料は最大で5万円を超える。

民間英語試験を大学入学共通テスト向けに受験できるのは大学受験の前年の4月~12月までの8ヶ月間のうち最大で2回まで。

大学入学共通テストに必要な共通IDを記入して受験した民間英語試験の2回目までの成績が大学入試英語成績提供システムに自動的に登録されるとされている。

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IDを記入して受験した試験結果はもれなく成績に反映されるが、IDを記入しないで繰り返し試験を受けることは可能だ。

また、民間試験の実施場所は大都市が大半で大都市から離れた場所に住む受験生には極めて大きな負担がかかる。

1回の受験料が高額であるため、資金力がなければ練習として試験を受験することはできない。

とりわけ遠隔地に住む受験生には著しく不利になる。

政府が2020年度から採用するとしてきた民間英語試験は7種類だが、この7つの民間試験は成り立ちも傾向も難易度も評価方法もまったく違う。

この7つの異なる民間試験を“CEFR”というヨーロッパ言語参照枠基準の6段階に当てはめて換算するとしているが、その換算法自体に科学的裏付けがないとの批判が存在する。

また、民間試験を受験する際に、さまざまな不正が行われることを厳重にチェックする仕組みが存在しない。

「替え玉受験」が行われて、不正に高い得点を得て大学受験に臨む受験生が現れることを否定できない。

このような制度的欠陥、問題だらけの民間英語試験利用が推進されてきている最大の背景は、民間英語試験業者への利益供与である。

これが実は「民営化」の本質なのである。

「民でできることは民に」の掛け声に隠されたいかがわしさを知っておかねばならない。

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に「民営化」の問題点を詳述したが、

「民でできることは民に」

との方針は間違っている。

「民がやるべきことは民に」

が正しいのであって、

「民でできることは民に」では

「公がやるべきことまで民に」

との結果がもたらされてしまう。

「公がやるべきこと」まで民にやらせるのは、民にその事業によって利益を得させるためだ。

正確に言えば、公がやるべき事業運営権を民間事業者に提供することによって「利益供与」が行われるのだ。

この意味での「民営化」を推進する人物には、民間事業者からリベートが提供される。

これが「民営化利権」なのだ。

民間英語試験利用は典型的な「民営化利権」のひとつである。

制度利用は延期でなく中止するべきだ。

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