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2019年10月19日 (土)

イージスアショアより堤防強化優先順位はるかに高い

台風19号が関東、中部、東北地方を直撃し、深刻な被害が広がっている。

台風19号が史上最大級の強さで首都圏を直撃したことは事実だが、この程度の勢力の台風が首都圏を直撃することは十分に想定されている。

台風19号は「異常に巨大な天災地変」とは言えない。

想定されている勢力、大きさの台風が襲来して、このような深刻な事態が引き起こされたことは、自然災害への備えが不足していることを意味する。

「ダムと堤防による洪水対策は限界に来ている」

などの論評が流布されるが、適正な代替案を提示せずに、このような論評を流布するのは無責任のそしりを免れない。

近年、集中豪雨による短時間降水量の増加が顕著になっている。

こうした降水は当然のことながら河川に流入することになる。

河川の流下能力を上回る雨水の流入があれば河川は氾濫する。

「ダムと堤防による洪水対策は限界に来ている」という論評が、河川の氾濫を「やむを得ぬもの」として容認するものであるなら、それに伴う人的被害、物的被害も容認するということになる。

今回の台風被害においても、人的、物的被害は膨大なものになっている。

集中豪雨が発生した際、河川の流下能力を上回る雨水の流入があった場合に、その雨水を河川から外に逃がす手法を検討することは有用ではある。

農業用ため池などを活用して河川の流量低減を図ることなどは積極的に検討するべきである。

しかし、こうした措置による流量低減効果には限界があり、これだけで甚大な被害を回避することは難しい。

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今回の豪雨災害では、治水用ダムにおいて「事前放流」が実施されていなかった。

「事前放流」とは台風が接近する際に、事前に放流して利水容量の下限を下回る水準に貯水量を引き下げることである。

このことによって、豪雨が発生した際の治水容量を拡大することができる。

巨大な費用を投下してダムを建設するなら、豪雨災害が予想される局面でダムの「治水容量」を最大限活用するべきである。

豪雨発生前にダムの貯水量を人為的に最低水準に誘導しておくことによって、豪雨の際にダムが雨水を溜め込むことによって河川の水位を抑制することができる。

また、河川においては、構造上、堤防決壊が発生する可能性の高い箇所の堤防強度を強化することが求められる。

支流における本流との合流手前地点では「バックウォーター現象」によって堤防に大きな力がかかる。

このような地点の堤防を強化することが必要である。

また、千曲川堤防決壊では、川幅が急激に狭まる地点の手前で堤防が決壊した。

これも事前に堤防決壊の可能性が指摘されていた箇所である。

河川氾濫による被害の甚大さ、深刻さを踏まえれば、河川氾濫による被害を回避するための対応を進めるべきなのだ。

国民の生命を守ることが政府の第一の役割だ。

そのための財政資金投下が必要になるが、財政資金投下で何よりも重要なのは「適正な優先順位」の設定である。

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ミサイルの迎撃など不可能であると言われているイージスアショアを設置するよりも堤防を強化することの方が、はるかに重要性が高い。

安倍内閣はF35を147機も購入し、維持費を含めれば総費用は6兆円に達するとも言われている。

しかし、戦乱が発生すれば、直ちにF35の基地がミサイルでの攻撃対象にされる。

基地が破壊されればF35は無用の長物に成り下がる。

こんなものに数兆円の財政資金を投下する余裕があるなら、その財政資金を堤防強化に注ぐべきなのだ。

損失ばかり計上する官民ファンドに巨大な財政資金を投下することもおかしい。

なぜ、吉本興業の事業に100億円もの公的資金を投下するのか。

河川の氾濫を防ぐための事業に財政資金を投下することの方がはるかに健全なのだ。

日本財政の最大の問題は、

必要のない無駄な対象に巨大な財政資金が投下される一方で、本当に必要な重要な対象に財政資金が投下されていないことだ。

同時に重要なことは、災害発生の可能性と影響を可視化すること。

ハザードマップはその典型である。

事前に、どの地点にどのようなリスクが存在するのかを可視化するものだ。

リスクがどこにどの程度で存在するのかを可視化する。

これは費用のかからない防災対策である。

情報を最大限活用して、合理的、かつ効果的な避難を実現する。

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