消費税増税強行がもたらすれいわ大不況
次の衆院総選挙が実施される時期は2020年12月が有力だろう。
本年10月に消費税率が10%に引き上げられる。
通常であれば、駆け込み消費で大盛況になっている時期だが様相が異なる。
街は静まり返っている。
ポイント還元など、消費税増税後の優遇措置が講じられているため、増税前の消費が抑制され、増税実施後も消費の落ち込みが軽微になるとの説明が散見されるが、見通しが甘い。
消費税率10%は所得の少ない市民の生活を直撃する。
一部品目の税率が8%に据え置かれるが、10%と8%では生活支援の意味を持たない。
複数税率に対応するレジスター機器を装備できない零細小売業者は存亡の機に晒されることになる。
複数税率が混乱を招くとともに、ポイント還元に対するハッキング行為が広範に広がる可能性が高い。
消費税大増税を控えて、すでに個人消費が深刻に冷え込み始めていると見られる。
増税実施後の消費の落ち込みは想像を絶するものになるだろう。
鉱工業生産指数の推移から判断すると、日本経済は昨年10月を境にすでに景気後退局面に移行している可能性が高い。
二つの重大な事象が日本経済に強い下方圧力を与えている。
第一は米中貿易戦争であり、第二は日本の消費税増税政策である。
10月以降、個人消費は急激な落ち込みを示す可能性が高い。
消費税増税によって所得の少ない消費者の消費が一段と落ち込むことになるだろう。
米国のトランプ大統領は自由貿易体制そのものを否定するかのような行動を推進している。
トランプ大統領は、2020年の大統領再選に向けて中国に対する強硬姿勢を示すことが得策であると判断していると見られるが、この施策が米国経済の深刻な悪化をもたらす可能性がある。
トランプ大統領は中国の対米輸出全体に20~30%の制裁関税を適用する可能性を示唆している。
これが実施されれば中国経済には深刻な影響が発生するが、中国も報復措置を実施することになり、米国経済への影響も深刻なものになる。
最も警戒されているのが、設備投資の急速な冷え込みである。
米中貿易戦争の拡大と長期化が現実化すると、企業は設備投資行動を著しく抑制することになる。
この結果として米国経済が深刻なリセッションに突入する可能性がある。
また、輸入品への関税率引き上げは輸入品の米国での販売価格上昇をもたらし、個人消費を冷え込ませる原因になる。
日本の安倍内閣は韓国に対して敵対的な政策を推進しているが、その影響が日本経済にも重大な影を落とす。
韓国訪日客の激減は観光産業にも深刻な影響を与え始めている。
2020年に向けて、世界経済が大きく下方に屈折する可能性が高まり始めている。
日本で消費税が導入されたのは1989年のことだ。
消費税は平成の負の遺産と言える。
政府は財政再建と社会保障制度維持のために消費税増税を実施してきたとするが、事実でない。
消費税増税の規模と法人税および所得税減税の規模がほぼ一致するのである。
つまり、消費税増税で得た財源は、法人税減税と所得税減税に投入されてきた。
この減税によって恩恵を受けたのは富裕層である。
他方、消費税は所得の少ない階層の人々に対する過酷な負担増加をもたらしてきた。
日本が一億総中流時代に税負担の水平的公平を確保するために消費税を導入するのなら意味がないわけではない。
ところが、平成の30年間は、日本の一億総中流が完全に崩壊し、圧倒的多数の中間所得者層が下流へ押し流された時期に相当する。
その下流に押し流された人々に鞭を打つ税制変更が強行されてきたのだ。
法人税減税と所得税減税は、1%の富裕層の税負担をさらに軽減するものであり、格差急拡大の時代に、その格差拡大をさらに拡大させる政策が採用されてきたのだ。
いま日本に必要な経済政策は、国家がすべての国民に保障する最低ラインを引き上げることだ。
このコンセンサス形成が次の衆院総選挙に向けての戦術構築の柱になる。
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