知事選敗北・外交孤立無援安倍内閣終わりの始まり
8月25日に投票日を迎えた埼玉県知事選で元参議院議員の大野元裕氏が勝利した。
知事選は与野党の事実上の一騎討ちの構図になり、参院選後初めての与野党全面対決選挙となって注目された。
与党は元プロ野球選手の青島健太氏を擁立し、政権幹部が総力を挙げて支援したが敗北した。
野党陣営では立憲民主党と国民民主党が院内会派を創設することに合意しており、与党対野党共闘の図式での選挙の結果がどうなるか、注目を集めていた。
開票結果は以下の通り。
大野元裕 無所属・新 923,482
青島健太 無所属・新 866,021
浜田 聡 NHKから国民を守る党・新 64,182
武田信弘 無所属・新 40,631
櫻井志津江 無所属・新 34,768
大野氏は旧民主党政権で防衛政務官を務めたのち、立憲民主党に所属する参議院議員だったが、2期目の途中で辞職して今回の知事選に立候補した。
4期16年知事を務めた上田清司氏は、5選出馬をせずに大野氏の支援に回った。
元民主党参議院議員の行田邦子氏も知事選出馬の意向を示していたが、最終的に出馬をしなかった。
その上で、投票日直前に青島氏支持の意向を表明した。
行田氏の行動は主権者の不信感を招くものだ。
極めて複雑怪奇な現象が続いたが、結局のところ、野党共闘候補が勝利を収めた。
与党では菅義偉官房長官が2度も応援に入った。
事前のメディア情勢調査では青島氏が優位とされた。
投票日が迫るに連れて接戦との報道が拡大したが、与党にとってはよもやの敗北になった。
投票率は32.31%で,極めて低かった。
それでも、4年前の前回選挙の投票率よりは5%ポイント上昇した。
自公が国政で多数議席を確保している現実は低投票率に支えられたものだ。
国政選挙では主権者選対の約25%が自公に投票している。
4人に1人しか与党に投票していないのだが、全体の投票率が5割前後に低迷しており、非自公の候補者への投票が分散すると、当選者1名の選挙区で自公候補が勝利することが多い。
このメカニズムによって,自公はわずか25%の得票で日本政治を支配するという歪んだ現実を形成している。
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この基本構図を踏まえると、投票率3割の選挙で自公候補が敗北するのは、自公にとってはあってはならない事態だ。
しかし、自公候補は確かに負けた。
8月18日付本ブログ、メルマガ記事で埼玉県知事選の重要性を指摘した。
自民党はいまだに参院選の総括すらできていない。
参院選で自民党は改選議席を9つ減らした。
安倍首相が至上命題としている憲法改定に必要な参院3分の2議席も割り込んだ。
衆院任期が残り2年となり、安倍政治の基本進路が不明確になっている。
「日米同盟」と叫ぶ安倍首相であるが、米国のトランプ大統領には完全に無視されている。
北朝鮮のミサイル発射は国連決議違反であると安倍首相が述べる面前で、トランプ大統領は「そうは思わない」と明言する。
安倍首相はあれだけ叫んでいた北朝鮮に対する「圧力外交」をトランプ大統領に、なぜ直接主張しないのか。
結局、トランプ大統領には何一つ日本の主張をぶつけることすらできない現実が改めて浮き彫りになっている。
韓国がGSOMIAを破棄したことについて、トランプ大統領から「失望した」との言葉が欲しかった安倍首相であると見られるが、トランプ大統領はGSOMIAについて完全スルーした。
その一方で、日米通商協議の終結を宣言され、日本はTPPを上回る失点を重ねることになった。
自公支持者でさえも投票行動に意欲を持てない事態が始動したようだ。
消費税増税を強行しながら、韓国敵視政策を続ければ、日本経済が驚天動地の大不況に転落することは想像に難くない。
安倍自公政権が崩壊する状況を踏まえて政権刷新の戦術策定を急がねばならない。
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