それでも老後資金2000万円不足が参院選争点になる
選挙を目前にして国民が注目する数字が大きく報道された。
老後の生活のために2000万円の貯蓄が必要という金融庁の報告だ。
安倍内閣はメディアと御用コメンテーターに命令して火消しに躍起だ。
NHKなどは、9時の定時ニュースは、金融庁報告書によって老後の資金計画を考えるきっかけが得られたとのまとめを示して、そのあとでパンダのニュースを延々と報じた。
腐ったNHK。
NHKで重要ポジションに就くには、上の命令に従う必要がある。
全身全霊で安倍チャンネル、あべさまのNHKの報道に協力しなければならない。
目立つポジションに就きたい気持ちは分かるが、全身全霊で御用に徹している姿は、決して美しいものではない。
人間の醜い性が浮かび上がって「かたはらいたし」と感じられてしまう。
「かたはらいたし」とは、こっけいで苦々しく感じるさま、笑止千万だ、ということ。
今回の金融庁ワーキング・グループの報告書に記載された内容について、政府に媚びを売る人々が、「目新しいことではない」、「年金で生活できるなどと誰も言っていない」などの言説を流布して、問題の火消しに躍起になっている。
それでも、この問題は参院選の大きな争点になるだろう。
重要なことは、政府が国民の老後の生活について、必要資金の標準を提示したことにある。
政府が資産の前提に置いた必要生活費は
夫婦二人で月に263,718円だ。
約26万円を必要生活資金として提示したのだ。
問題になっている2000万円必要の試算は、平均的な姿として、夫婦が月に209,198円の収入があるとして計算したものだ。
毎月54,520円の赤字になる。
この金額は1年当たりで654,240円になる。
30年では1962万7200円が必要になる。
夫65歳、妻60歳の夫婦で30年生存すると、自己資金が約2000万円必要だとする仮定計算を公表したのである。
この数値そのものは,単なる試算だが、公表された試算数値が、それぞれの国民が自分の老後を考える尺度として使われることになる。
そのために数値を公表したのだとも言える。
このことによって、私たちの老後の状況が、より具体的イメージとして掴めるようになったのだ。
それによって、人々が安心できるなら数値公表の意味があっただろうが、現実は逆である。
日本の多数の国民に「地獄絵図」を提示してしまった。
金融庁は計り知れない失態を犯したことになる。
まず問題になるのは、夫婦で月に21万円の収入という部分だ。
厚生年金に加入していないとこの金額を受領できない。
国民年金の場合、満額で一人月額65,000円だから、二人で13万円になる。
そうなると、26.4万円の生活費がかかると、月に13.4万円の赤字になる。
年間では160.8万円、30年間では4824万円必要になる。
つまり、国民年金だけしか加入していない人の場合は、満額もらえる人でも4824万円の貯金がないと老後を暮らしていけないということになる。
では、生活苦で年金保険料が払えず、無年金の人はどうなるのか。
毎月26.4万円の生活費が必要になるから、年間で316.8万円必要になる。
30年間では9504万円だ。
老後に生きてゆくには9500万円の貯金が必要だということが示される。
2人以上世帯では、所得ゼロ世帯の57.1%が貯蓄ゼロである。
300万円以下の収入世帯の28.4%が貯蓄ゼロだ。
これらの数値が明らかにすることは、日本の高齢社会が地獄絵図の様相を示すということだ。
重要なことは、すべての国民に付与する最低ラインを引き上げることなのだ。
これを示さずに、試算結果を公表すれば、怒号が飛びかうのは当然のことだ。
選挙ではこの問題を徹底的に掘り下げて論争点にするべきだ。
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