イランにも相手にされなかった対米隷属安倍外交
安倍首相はイランに何をしに行ったのか。
米国とイランの対立を解消するためにイラン訪問を行ったとするなら、成果はゼロであった。
イランは米国の対応に強い不信感を抱いている。
そして、イランは日本が、単に米国に追従するだけの存在であることを確認した。
これが安倍首相のイラン訪問がもたらしたものである。
得点はゼロ、失点は計り知れなく大きい。
このイラン訪問の真実をメディアが伝えない。
安倍官邸は
「イランの最高指導者である、ハメネイ師と直接お目にかかり、平和への信念を伺うことができました。これは、この地域の平和と安定の確保に向けた大きな前進であると評価しています。」
としているが、ハメネイ師が従来のスタンスを変えて平和への信念を安倍首相に伝えたわけではない。
従来からの主張を繰り返して述べただけである。
これがどうして「地域の平和と安定の確保に向けた大きな前進」となるのか。
NHKは、
「会談後、安倍総理大臣は記者団に対し、『ハメネイ師と直接お目にかかって平和への信念をうかがうことができた。この地域の平和と安定の確保に向けた大きな前進であると評価している』と述べました」
と報じたが、これでは報道機関としての役割を果たしていない。
単なる政府のスポークスマンである。
イランは安倍首相の提案をことごとく拒絶した。
イランは米国に対して強い不信感を有しており、安倍首相が、単にトランプ大統領の主張をそのまま伝えに来た「伝書鳩」、あるいは「伝書鷹」であることを正確に見抜いている。
イランの主要メディアであるファルース通信の報道記事をロイターが次のように伝えている。
「イランの最高指導者ハメネイ師は13日、同国を訪問中の安倍普三首相に対し、イランは米国と交渉するという「苦い経験」を繰り返さないと述べた。
安倍首相はトランプ米大統領からイラン指導部へのメッセージを預かっていたが、ハメネイ師は「トランプ(大統領)とメッセージを交換する価値はない。今も今後も返答することは何もない」と述べた。
ハメネイ師は、イランの体制変更を求めないというトランプ大統領の約束は「うそ」だとも発言。米国がイランに「率直な交渉」を提案したことについては、信用しないと述べた。
ハメネイ師は「イランは米国を信頼しておらず、JCPOA(包括的共同作業計画=イラン核合意)の枠組みにおける米国との交渉での苦い経験を絶対繰り返さない」とし「賢明で誇りを持った国は圧力のもとでの交渉を受け入れないものだ」と語った。」
この事実のどの部分が、「この地域の平和と安定の確保に向けた大きな前進」なのか。
安倍首相は国民の税金を散財する華美な海外旅行を繰り返しているだけである。
「外交の安倍」ではなく「血税垂れ流し、ばらまきの安倍」でしかない。
北朝鮮の拉致問題を1ミリでも動かしたのか。
米中韓ロ日の五ヵ国首脳で北朝鮮の金正恩委員長と直接対話を実現できていないのは安倍首相だけである。
「北方四島は日本固有の領土であり、ロシアによる不法占拠に抗議し、国土を奪還する」としてきた北方領土問題について、「北方四島が日本固有の領土であり、ロシアによる不法占拠を許さない」との表現を、突然封印して、歯舞、色丹二島の返還による平和条約締結を加速させると宣言しながら、二島返還の話も立ち消えになっている現状のどこに外交成果があるのか。
安倍首相のイラン訪問に対して、イラン最高指導者は、明確に、単なる米国の使い走りで来たのなら、日本を相手に話すことは何もないとの姿勢を鮮明に示した。
その上で日本に対して、
「安倍首相に対し「米大統領は日米首脳会談でイランについて議論した後にイランの石油化学セクターに制裁を課した。これが誠実さのメッセージなのか。米大統領が誠実な交渉を求めていると言えるのか」とした上で、「日本はアジアの重要な国だ。イランとの関係拡大を望むなら、他の国々と同様に断固とした姿勢を取るべき」と述べた。」(ロイター前掲記事)
のである。
イランは米国の対応を強く批判し、その米国に追従している日本の姿勢を厳しく糾弾した。
日本政府は事実をまったく国民に伝えていない。
NHKは単なる政府の広報機関と化し、報道機関としての役割を全面放棄してしまっている。
このような腐敗したNHKの存続を私たちは容認するべきでない。
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