米中貿易戦争で動揺広がる米国のトランプサイド
米中貿易戦争の着地点は見えている。
トランプ大統領の敗北である。
このことは、すでに5月11日付けブログ記事
「非は中国にあるとするNHKサブリミナル原稿」
https://bit.ly/2JE0NVE
に明記した。
この記事に、
「トランプ大統領が何よりも嫌う株価下落圧力が急激に高まるはずだからだ。」
と明記したが、その通りの現実が進行している。
トランプ大統領は5月5日のツイッターで、中国に対する25%制裁関税発動を宣言した。
直後の米中閣僚級会合での中国の譲歩を狙ったものだった。
中国の対米輸出は5300億ドル。
米国の対中輸出は1500億ドル。
米中が制裁関税を発動し合っても、米国の打撃は中国の3分の1以下だ。
この単純計算から、トランプ大統領が無謀な攻撃を仕掛けてきた。
直接的な打撃は中国が大きい。
習近平主席は体制の足元を固める上で、中国経済の底割れ回避を最優先する。
だから、中国に圧力をかければ、中国は譲歩する。
これがトランプ大統領の読みであっただろう。
ところが、誤算が生じている。
中国が平然としているのだ。
米国に対して、堂々と渡り合っている。
渡り合っているというより、中国の対応が「大人(たいじん)の対応」トランプ大統領の対応が「小人(しょうじん)の対応」になってしまっている。
トランプ大統領と同次元の思慮レベルの交渉相手であれば、トランプ大統領の「ディール術」が通用するだろう。
現実にトランプ大統領は「オレ流」の対応で、これまでは成功を収めてきたと言える。
しかし、この「ディール術」が中国には通用しない。
トランプ大統領は面食らい、地団駄を踏んでいると見られる。
中国が明確に「受けて立つ」姿勢を示しているのだ。
勝敗を決定するのはトランプ大統領と習近平主席の存立基盤の強固さである。
存立基盤が強固である側が、最後まで強気の対応を示すことができる。
そして、もう一つ重要なことは、それぞれの主張の「正当性」が勝敗を分ける決め手になる。
結論を示せば、この戦争は中国の勝利に終わるはずだ。
トランプ大統領は白旗を上げざるを得なくなるだろう。
トランプ大統領の大いなる屈辱になると考えられる。
存立の基盤の強さは習近平主席がトランプ大統領を上回る。
トランプ大統領は2020年大統領選再選を目指しているが、薄氷を踏む状況なのだ。
これと比較すると、習近平主席の基盤ははるかに強固である。
もう一つの重要な視点は両国の主張の正当性だ。
米国が知的所有権の尊重を訴えるのは正当である。
しかし、この米国の要求に対して中国は真摯な対応を示している。
政府による技術移転の強要を禁止する法律も新たに制定した。
米国は民間企業に対する技術移転も禁止するべきだとしているが、これは経済活動の自由を認めるという米国の価値観に反する内政干渉である。
産業補助金を禁止するべきとの米国の主張も米国の現実に反するものだ。
米国政府も農業等に巨大な産業補助金を投入している。
その米国が中国の産業補助金を批判するのは論理的整合性を持たない。
貿易戦争激化は中国株価を下落させ、中国経済を底割れさせる可能性が高い。
しかし、その場合、NY株価は本格的な下落を示すことになるだろう。
この株価下落はトランプ大統領の再選を妨げる最重要の要因になる。
トランプ大統領自身がNY株価下落に耐えられなくなるはずだ。
このことから、白旗を上げるのはトランプ大統領になるだろう。
トランプ大統領が2020年大統領再選を目指すなら、
「過ちて改むるに憚るなかれ」
ということになる。
トランプ大統領の豹変がいつ観察されるのかが今後の最大の注目点になる。
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