連休明け市場急襲の米中通商協議決裂リスク
10連休が終了し日本経済が通常活動に戻る。
金融市場は10連休にどのような波乱が生じるのか強い警戒を示してきた。
取引が行われないから、この期間に重大な金融変動が生じることがないかを警戒したのである。
5月3日の米雇用統計は雇用者増加数が事前予想を上回ったものの、賃金上昇率が抑制されてNYダウが上昇した。
10連休は大過なく平穏に乗り越えられるかに見えた。
ところが、最後の最後に激震が走った。
米国のトランプ大統領が5月10日から中国の対米輸出2000億ドルに対する関税率を10%から25%に引き上げると宣言した。
5月8日から9日にかけて中国と米国の閣僚級協議がワシントンで開催されることになっている。
トランプ大統領の発信は、この交渉を米国に有利に展開するためのブラフ=脅しであると見られているが、中国の対応によっては交渉が決裂する可能性も生じる。
5月6日の上海総合指数は171ポイント、5.6%急落し、重要な節目の3000ポイントを大きく割り込んだ。
昨年来のグローバル金融市場動揺の第一の背景が米中貿易戦争の激化である。
米中交渉決裂となれば世界経済は新たな経済危機、金融危機に突入する可能性が高い。
トランプ大統領は米国株価が上昇すると強気の言動を示し、NY株価が急落すると態度を急激に軟化させる。
昨年来、グローバルな金融市場の動揺の原因になってきたのは
米中貿易戦争
米国利上げ
日本増税政策
の三つである。
昨年10月から12月にかけてグローバルな株価急落が広がったのは、この三つの要因がすべて株価下落を後押しする方向に変化したからである。
2019年の年明け後に状況が一変してNY株価が史上最高値に接近したのは、三つの要因がすべて後退し始めたからだ。
1月4日に米国FRBのパウエル議長が金融政策運営の方針転換を示唆したことが大きかった。
もとより、トランプ大統領はFRBの金融引き締め政策に強い反対の意向を表明していたが、大統領が直接的に金融政策に言及することは金融市場の混乱を招くだけで弊害が多い。
FRBは政治権力からの独立性を重視しており、金融政策が政治権力によって支配されると見なされることが金融政策運営に対する信認を低下させてしまうからだ。
FRBが軌道修正して利上げペースを緩めたことは、トランプ大統領の主張と整合的だが、FRBとしては、基本的見解が近いとしても、大統領の指示で政策運営を行っているように見えることを避けようとする。
このために、政策運営に無用の混乱が生じてしまうのである。
本年入り後、米中通商交渉が進展し、トランプ大統領も交渉進展を歓迎するメッセージを発していた。
12月には中国ハイテク企業ファーウェイ幹部がカナダで逮捕され、米中協議の決裂が警戒された。
これが株価下落の重要な背景になった。
この市場変動を受けて、年明け後は交渉の進展が伝えられてきた。
中国の対米輸出は5000億ドル規模で、すでに第一弾、第二弾の制裁関税発動で、500億ドル相当分に25%の関税が課せられている。
さらに2000億ドル分に25%の関税が課せられると、中国の対米輸出全体の半分に対して25%の関税が課せられることになる。
そうなれば中国経済は極めて深刻なダメージを受ける。
この警戒感から、上海総合指数は昨年1月末の3587ポイントから本年1月の2440ポイントまで3割以上の下落を示してきた。
しかし、中国経済が底割れする場合には、間違いなく米国経済も深刻なダメージを受ける。
NYダウが急落したのはこのためである。
トランプ大統領の高度な駆け引きである可能性は高いが、中国が強硬な対応を示すならば、交渉決裂という事態に移行するリスクを排除できなくなる。
5月6日のNY株式市場がどのような反応を示すか注視を怠れない。
5月7日の東京市場は緊迫した状況下で市場が再開されることになる
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