安倍内閣による消費税増税再々延期有力に
安倍内閣が消費税増税再々延期の方針を固めつつあると見られる。
狙いは次の衆参両院選挙での改憲勢力3分の2確保である。
5月20日に2019年1-3月期のGDP統計が発表される。
1-3月期の実質GDP成長率はマイナスに転落する可能性が高い。
そうなると、2018年度はプラス成長が2四半期、マイナス成長が2四半期ということになる。
年度の成長率はゼロから+0.5%の間の極めて低いものになる可能性が高い。
本年1-3月期の数値が著しく悪化すれば,年度の成長率がマイナスになることも完全には否定できない。
すでに個人消費が著しく停滞し始めている。
消費税率が10%になるなら、引き上げ前の駆け込み消費が出るはずだが、それ以上に消費全体が抑圧される可能性が高い。
自民党の萩生田光一幹事長代行が、4月18日のインターネット番組で、消費税増税に関し、6月の日銀短観が示す景況感次第で延期もあり得るとの考えを示したと報じられている。
消費税増税再々延期は現実に可能性のあるものだ。
かねてより「リーマンショックのようなことがあれば」消費税増税を延期する可能性があることが表明されてきた。
問題は「リーマンショックのようなこと」の判定基準だが、これまでの経緯を踏まえれば基準はないに等しい。
1回目の延期を発表した2014年11月18日の総理大臣記者会見で安倍首相はこう述べた。
「来年(2015年)10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。
再び延期することはない。ここで皆さんに、はっきりとそう断言いたします。」
ところが、2回目の延期を発表した2016年6月1日の記者会見で安倍首相は次のように述べている。
「そうした中で、内需を腰折れさせかねない(2017年4月の)消費税率の引上げは延期すべきである。そう判断いたしました」
「今回、『再延期する』という私の判断は、これまでのお約束とは異なる『新しい判断』であります。」
「信なくば立たず。国民の信頼と協力なくして、政治は成り立ちません。」
最後の「信なく場立たず」の発言の意味が不明である。
安倍首相は「信なくば立たず」の意味を知らずに発言した疑いが強い。
「訂正云々」を「ていせいでんでん」と読み上げて何の疑問も持たない人物だから,約束を破って「信なくば立たず」と発言したことの意味を考察するのは時間の無駄かも知れない。
安倍内閣は2016年5月の伊勢志摩サミットで、世界経済の状況がリーマンショック前の状況に似ていると訴えたが賛同者はいなかった。
客観的に見ても、リーマンショック後の状況には類似する部分があったが,リーマンショック前の状況には似ていなかった。
それでも,これを根拠に消費税増税を延期したのだから、延期に理由はいらないということになる。
GDPの低迷、日銀短観での業況判断DIの悪化を理由に消費税増税再々延期を発表する可能性は十分にある。
こうした状況に、財務省が警戒感を強めている。
OECD(経済協力開発機構)が4月15日に、日本の消費税率を26%にまで引き上げる必要があると提言したのも、財務省の舞台回しによるものと推察される。
財務省には森友学園事案で安倍首相を守ったとの意識が強く存在する。
森友学園への国有地激安払い下げの経緯をすべて明らかにしていれば、安倍内閣は総辞職に追い込まれていた。
末端職員の自殺者まで出しながら、財務省は事実を隠ぺいした。
だから財務省は、安倍首相が財務省に対して増税実施で恩義に報いるべきだと考えていると思われる。
しかしながら、安倍首相の側は、安倍内閣が検察当局を支配して、虚偽公文書作成や国有地激安払い下げの背任事案をすべて無罪放免にしたとの意識を有しているだろう。
このことで安倍首相は「借り」を返したと考えているとも考えられる。
最終的に安倍首相が増税延期を決めれば、財務省に手立てはない。
ただし、増税延期が確定した場合には、財務省が安倍首相夫妻の関与を示す新証拠を表に出す可能性はある。
神経戦が続く。
日本経済の停滞感は日増しに強まっており、消費税増税強行は不況への移行の発射ボタンになる。
増税強行で安倍内閣が退陣に追い込まれるのは「毒をもって毒を制する」ことを意味するから、ひとつの選択肢にはなり得るが、この可能性を認識して安倍首相が消費税増税再々延期に進む可能性がある。
反安倍自公勢力はこれを前提に選挙戦術を構築する必要がある。
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