新元号発表方式が示す安倍首相「小人の風格」
主要国の政治トップの行動が信頼を欠く状況になっている。
日本では天皇退位に伴い元号が変わる。
元号の利用は事務的な煩雑さを招くばかりで実益がほとんどない。
西暦への換算が面倒であり、多種多様な犯罪事案、詐欺事案の発生原因にもなる。
いっそのこと、新元号を「西暦」とし、「西暦19年」から始めて、以後、元号改定をなくすことを検討してはどうか。
その新元号が4月1日に公表されるが、午前11時半に官房長官が発表したのち、正午から安倍首相が会見を行うのだという。
平成を公表した際は、小渕恵三官房長官が発表した。
竹下登内閣だったが新元号の発表は小渕官房長官が行い、首相談話は小渕官房長官が代読した。
新元号は菅義偉官房長官が発表し、首相談話を菅官房長官が代読すればよい。
ところが、安倍首相は違う。
新元号は菅官房長官に発表させるが、説明は自分でやるというのだ。
安倍首相らしい対応であるが、官房長官として長く仕えてきたのだから、新元号公表の晴れ舞台を菅氏に提供するのが大人(たいじん)の振る舞いというものだろう。
しかし、それをできないのが安倍首相ということだ。
トランプ大統領は2月28日の米朝首脳会談が物別れに終わった際に行われた記者会見でも、記者からの質問を多数受け付けて、自分自身の言葉で回答した。
米国の大統領記者会見はこの方式で行われる。
ところが、安倍首相の記者会見は「学芸会」のようなもの。
質問を事前に提出させて、予定された質問者しか指名しない。
答弁は事前に官僚が作成して、安倍首相はプロンプターに映し出された原稿を読むだけだ。
だから、安倍首相はLeaderでなくReaderと言われる。
そのトランプ大統領が、再びFRB批判の言葉を発している。
トランプ米大統領は3月29日のツイッターで、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げは「間違い」だと断じた。
そして、金融引き締めがなければ「世界の市場はもっと良かった」と批判した。
さらに、トランプ氏は「インフレがほとんどない中でFRBが誤った利上げや、ばかげたタイミングでの保有資産圧縮をしていなければ、米経済成長率と株価はもっと高かった」と批判した。
FRBに対する批判、不満、怒りを公表することは、FRBの行動を制約するもので害が多い。
パウエル議長を選任したのはトランプ大統領だ。
金融市場はパウエル新議長がインフレ対応に甘くなることを警戒した。
そのために、昨年1月から2月にかけて金融市場に波乱が生じた。
パウエル議長は昨年2月末の議会証言で、インフレ対応に積極的に取り組む姿勢を示した。
この議会証言で金融市場の動揺が収まったのだ。
パウエル議長率いるFRBは2018年に4度の利上げを断行した。
12月の利上げに向けてトランプ大統領のFRB攻撃が苛烈を極めた。
「FRBはいかれている」とまで罵り始めた。
挙げ句の果てはパウエル解任にまで言及した。
大統領府から金融政策の命令が下されれば、FRBとしては、その命令に従順に従うことが困難になる。
金融政策運営の独立性に疑問が投げかけられるからだ。
12月のFOMCでFRBは昨年4度目の利上げを断行した。
しかし、この利上げを受けてグローバルな株価下落が加速した。
この変化を受けてパウエル議長は本年1月4日に、金融政策運営の路線転換を示唆する発言を示した。
実際に、FRBは政策路線を転換した。
これを受けてグローバルに株価反発が広がった。
トランプ大統領は、この状況を見守っていればよい。
ところが、再び金融政策に表から注文をつけ始めた。
節度を守らない行動が、マイナスの影響を自分自身に降り向ける原因になる。
英国ではメイ首相の采配に疑問符がつけられている。
議会政治であるから、議会で承認を得られる方針を提示することが重要だが、それができない。
英国が合意なきEUからの離脱に突入するリスクが高まりつつある。
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