国民の老後資金15兆円損失政府責任は重い
インフルエンザの流行が猛威を奮っています。
読者のみなさまも栄養、睡眠を十分に取り、ご自愛専一におすごし下さるよう祈念いたします。
また、多くの方からのお見舞いの言葉を賜りまして深謝申し上げます。
インフルエンザの流行を抑止するには、感染源となる感染者の行動が抑止されなければならないが、厳しい経済情勢の下で、安心してゆっくり静養もできないというのが多くの労働者の実情である。
安倍内閣の下で雇用が増えたと言われるが、増えた雇用の7割は非正規雇用である。
身分が不安定で、しかも賃金が低い。
「一億総活躍」の意味は、「働くことのできる国民は一人残らず低賃金非正規労働者として働け」という意味だと理解できる。
年金支給開始年齢が順次引き上げられ、国民は高齢になっても働かざるを得ない。
その一方で、社会保障の給付水準が実質的に切り下げられ続けている。
自己負担割合も上昇の一途を辿っている。
高齢になるまで労働を強制され、高齢者に対する社会保障給付水準を実質的に大幅に切り下げる。
働ける年齢の1億人の国民は「低賃金強制労働」というのが「一億総活躍」で、
働くことのできない年齢の2600万人の国民のうち、高齢者に対する社会保障を切り詰めるいというのは、それらの国民にはできるだけ早く逝去してもらいたいとの政府の希望を込めたものだと受け止められる。
これが安倍政治の基本スタンスということになるのだろう。
労働者の生活環境も、高齢者の生活環境は日増しに厳しさを増している。
公的年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が2月1日、2018年10~12月期の運用実績を公表した。
なんと、たった3ヵ月で14兆8039億円の損失を発生させた。
12月末時点の資産総額は150兆6630億円に減少した。
たった3ヵ月で運用資産全体の9%をも失ってしまったのだ。
1兆円というお金の感覚を掴めない。
分かりやすく表現するとこうなる。
毎日100万円使う。
雨の日も風の日も、元気なときも、病に伏しているときも、必ず毎日100万円を使い続ける。
どれだけ使うと1兆円を使い切れるか。
答えは2740年だ。
2740年間、毎日100万円使い続けて、ようやく1兆円を使い切ることができる。
14兆8039億円を使い切るには4万0559年かかる。
このような金額をたったの3ヵ月ですってしまった。
安倍内閣の責任は重大だ。
10-12月期には内外市場で株価が下落した。
私が発行している会員制レポート『金利・為替・株価特報』では、昨年10月10日執筆の10月15日号タイトルを
「長期上相場終局=波乱局面への移行可能性」
として、投資戦略では日経平均株価先物の「売り」を参考銘柄として提示した。
このレポートで、日経平均株価推移が2007年後半と類似した推移を辿る可能性を指摘した。
その後、この見解を維持し続けて、毎号レポートで、各時点の日経平均株価が2007年後半推移のどの地点に位置するのかを図解して株価予測を提示した。
実際に、日経平均株価推移は、2007年後半の株価推移と驚くべき類似を示して推移した。
2007年後半の日経平均株価
2018年後半の日経平均株価
この予測に従って株価指数先物取引を行っていれば、巨額損失ではなく、莫大な利益を計上できたと考えられる。
『金利・為替・株価特報』では、本年1月10日執筆の1月15日号で「警戒警報の一時解除」を明記した。
1月4日パウエルFRB議長発言等により、株価下落をもたらしてきた主要因に重要な変化が観察されてからである。
現実に、1月4日以降は株価変動の基調が変化して現在に至っている。
GPIFは基本的に無策で、たったの3ヵ月で14兆円もの国民の貴重な老後資金をすってしまった。
その責任は極めて重い。
政府はこのGPIFの管理運用手数料として年間400億円もの資金を支払っている。
こんな杜撰な運用では、日本国民の未来は真っ暗闇である。
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