子どもの学校に行かない自由を確認すべし
昨年11月、宮城県仙台市泉区で母親と小学2年の長女の無理心中とみられる事件があった。
その父親が1月21日、仙台市教育委員会に第三者委員会による調査を求める要望書を提出した。
父親は「長女は学校でいじめを受け、相談を受けた学校も対応を怠った」と訴えている。
報道によると、父親は、長女が小学1年だった昨年3月ごろから、同級生に仲間外れにされる、たたかれそうになるなどのいじめを受けていたという。
両親から相談を受けた学校は「いじめがあったという事実をもとに、マニュアルにのっとって対応する」と返答したが、対応は進まず、長女は精神的に不安定となり、母親も体調を崩した。
長女は昨年8月ごろ、文中で6度も「しにたいよ」と訴える手紙を両親宛てに書き、「わるいことしかないよ」、「いじめられてなにもいいことないよ」などと訴えていた。
父親は昨年11月29日に、2人が自宅で死亡しているところを発見した。
宮城県警は、母親が長女の首を絞めた後に自殺した無理心中の可能性があるとみて捜査している。
要望書提出の際の取材に対して父親は、「何十回といじめについて相談したが、対応してもらえず絶望していた」と時折涙をこらえながら訴えた。
市教育委の佐々木洋教育長は「事案は重く受け止めている。しっかりと調査し、事実関係の把握につとめる」とコメントした。
しかし、学校がいじめを認定し、対応していたかどうかについては明らかにしていない。
また、学校での悲劇が起こった。
事実関係の解明が急がれる。
いじめで自死が選択されることほどむごいことはない。
このような事態が二度と発生しないように、対応策を明確にするべきである。
学校教育法は第17条で、同法第1条が定める「学校」に子を就学する義務を定めている。
日本国憲法が
第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
と定めていることに基づく法律であるが、日本の主権者はこれらの法令の意味するところを正確に理解する必要がある。
日本国憲法は、
「保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ」
と定めているが、
「保護する子女に学校教育を受けさせる義務を負ふ」
と定めているわけではない。
「学校教育」以外に「普通教育」を受けさせる機会があれば、保護者はその方法を選択することができると考えられる。
憲法が定めているのは
「子女に普通教育を受けさせる義務」
であり、ここから「義務教育」という言葉が使われているが、より重要なことは、ここでいう「義務」が
「保護者が子女に普通教育を受けさせる義務」
であって、
「子女が学校教育を受ける義務」
ではないことだ。
言い方を変えれば、
「子どもが学校に行く義務はない」
のである。
すべての保護者は、このことをまず明確に認識するべきである。
学校は子どもの安全を確保する場所になっていない。
学校において、子どもの命や人権が守られていない現実が広範に広がっている。
この現実を踏まえて、子どもが「いじめ」等の被害を受けた場合には、まず、その子どもを、安全ではない、子どもの人権が守られていない学校から「避難」させることを優先するべきである。
子どもには「学校に行かない自由」が付与されていることを明確に認識しておく必要がある。
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