いざなぎ景気は超えていない
私は2013年7月に『アベノリスク』と題する著書を上梓した。
あれから5年の時間が経過した。
この書で警告したことがらがすべて現実のものになっている。
その『アベノリスク』の電子書籍版が刊行された。
『アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪』(講談社)
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安倍政権が内包する7つのリスクを明らかにしたものだ。
7つのリスクとは、
インフレ・消費税大増税・TPP・原発・シロアリ増殖・憲法改変・戦争
である。
新約聖書「ヨハネの黙示録」に次の記述がある。
第一の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、血のまじった雹(ひょう)と火とがあらわれて、地上に降ってきた。そして、地の三分の一が焼け、木の三分の一が焼け、また、すべての青草も焼けてしまった。
第二の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、火の燃えさかっている大きな山のようなものが、海に投げ込まれた。そして、海の三分の一は血となり、 海の中の造られた生き物の三分の一は死に、舟の三分の一がこわされてしまった。
第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ・・・
と続く。
『アベノリスク』は、日本にもたらされる7つの大きな災厄を記述したものだ。
2018年の漢字=「災」いだ。
第一のラッパが吹き鳴らされると、日銀の資産を大幅に劣化させてまで誘導される激しいインフレが、政府と企業だけを救い、国民は大いに苦しめられた。
第二のラッパが吹き鳴らされると、大増税が始まり、アベノミクスへの期待効果によって生まれたわずかな株高などは簡単に吹き飛ばされた。
第三のラッパが吹き鳴らされると、TPP加盟によって美しい国土は荒れ地と化し、米国市場原理主義の猛威が日本社会を荒廃させた。
第四のラッパが吹き鳴らされると、活断層の上の原発がいつのまにか続々と再稼働し始め、人々は原発事故の悪夢に怯える日々を過ごした。
第五のラッパが吹き鳴らされると、血税を食い荒らすシロアリ官僚がますます増殖し、再び増額された巨大公共事業・役人利権予算に群がった。
第六のラッパが吹き鳴らされると、権力の横暴を防ぎ止める役割を担っていたはずの憲法が、国家権力によって次々と都合よく改悪され、国民主権や基本的人権がないがしろにされた。
第七のラッパが吹き鳴らされると、憲法改悪によって戦争への道が切り開かれ、集団的自衛権の名のもとに日本が報復攻撃の対象とされ、・・・・・・・
本書では、インフレ誘導は成功しない可能性が高いことを理論的に整理して示した。
実際に、黒田日銀はインフレ誘導に失敗して現在に至っている。
だが、日銀の資産残高はGDP以上に膨れ上がり、日銀の信用が失墜する瀬戸際にある。
「ねじれの解消」をメディアがはやし立てて2017年7月参院選で安倍自公与党勢力が衆参両院での過半数議席を確保した。
ここから「災厄」が本格化したのである。
メディアは「アベノミクス」を大宣伝したが、本当に伝えなければならなかったことは「アベノリスク」だった。
あれから5年半の時間が過ぎ去り、リスクが現実のものになった。
シロアリ退治は行われず、日本はシロアリ、ハイエナ、コバンザメに食い尽くされようとしている。
民営化や国家戦略特区に、醜悪なコバンザメが群がり、国民資産を食いものにしている。
これらを放逐するべきときが来ている。
本日、12月13日、内閣府は景気動向指数研究会を開催し、景気回復が2012年12月から2017年9月時点まで続き、高度成長期に57カ月続いた「いざなぎ景気」を超え戦後2番目の長さとなったと判断した。
しかし、これは政府の勝手な判断で事実に反している。
「いざなぎ景気」は実質GDPが70%拡大した本格景気だが、今回の実質GDP増加はわずか7%。
しかも、2014年1月ころから2016年5月ころまで、日本経済は景気後退局面を経過している。
真っ赤な嘘が政府から発表されているだけだ。
今回の景気を命名するなら「いかさま景気」ということになる。
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