私たちの命と未来を支える水・種子・教育
昨年上梓した
『「国富」喪失』(詩想社新書)
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のあとがきに次のように書いた。
「私たちの命と未来を支える根源的なものを三つあげるとすれば、「水」、「種子」、「教育」といいうことになるだろう。
日本では水を「湯水のように」扱うが、飲用可能な水資源は世界的に希少になっている。
水は命の源であり、いま、世界における最重要の戦略物資のひとつになっている。
ハゲタカが、この水に狙いをつけると同時に、ハゲタカにこの水を献上する愚かな行動が現実のものになり始めている。
「種子」がなければ「果実」は得られない。
日本では、コメ、麦、大豆の主要農作物について、法律によって公的に種子を管理してきた。このことによって、世界でも賞賛される優れた品種が開発され、広く国民の利用に供されてきたのである。
ところが、ハゲタカは、この種子にも狙いを定めている。
種子の知的所有権を強化し種子を独占支配しようとする民間巨大資本が、日本においても種子を独占支配することを目論んでいる。
国を愛する為政者なら、体を張ってハゲタカの策謀に立ち向かうべきであるが、その為政者があろうことか、ハゲタカの利益のために体を張ろうとしている。本末転倒というほかない。」
「そして、未来を支えるために、もっとも真剣な考察が必要な重要事項が「教育」であるが、個人の尊厳を何よりも重んじるべきであるのに、「国家のための国民」を形成するために教育を利用するとの時代錯誤の政策が強行されようとしている。」
種子法が廃止され、コメ、麦、大豆という主要農作物の種子を公的に管理、保全し、農業者に安価で安定的な高品質の種子を提供する基盤が破壊された。
幸い、山田正彦元農水相などの尽力により、種子法廃止の弊害を除去するための条例制定が全国に広がり、種子法復活に向けて、与党陣営を含む行動も拡大しつつある。
しかしながら、安倍内閣は日本の主権者の利益ではなく、グローバルに活動を展開して暴利をむさぼるハゲタカ資本の先兵に成り下がってしまっている。
日本が批准している「食料・農業植物遺伝資源条約」は、
「農場で保存されている種子又は繁殖性の素材を国内法令に従って適当な場合に保存し、利用し、交換し、及び販売する権利を農業者が有する場合には、その権利を制限するものと解してはならない。」
としており、農業者には、種子の自家採種の権利が保障されている。
ところが、安倍内閣は種子の育種権者の利益保護を優先して、種苗法を改定して、種子の自家採種を原則禁止することを目論んでいると伝えられている。
「主権者ファースト」ではなく「ハゲタカファースト」の政策が猖獗を極めている。
2018年の臨時国会では水道法改悪が強行された。
水道施設が老朽化し、水道事業の収支が悪化しているなら、水道行政を広域化し、水道事業に対する主権者の監視が強化される制度変更を工夫すれば良い。
水道施設の更新には公債発行を検討するべきである。
公債発行のコストは民間事業者よりも政府の方が低い。
負債に見合う資産が形成されるのであるから、公債発行による設備更新に問題はない。
重要なことは、住民に必要不可欠なサービスを政府が責任をもって提供することである。
それが、主権者が税金を支払う根拠である。
政府が水道民営化を推進する理由は、民間事業者に対する「利益供与」でしかない。
その「利益供与」によって見返りの利益供与を得ることが、この施策の動機になっているのである。
実質上の「背任」である。
この種の政府とハゲタカ資本の癒着=汚職関係が後半に広がり始めている。
2018年が幕を閉じようとするなか、2019年に向けて、もっとも深い考察が求められるのが「教育の再建」である。
「教育」こそ未来に対する投資である。
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