安倍首相には中国と友好関係を築く意思がない
日中平和友好条約が発効して40周年を迎えた。
しかし、日本の安倍首相は発効40周年にあたる10月23日、平和友好条約発効40周年を祝う式典ではなく、明治150年記念式典に出席した。
明治の延長上に昭和の侵略戦争がある。
この侵略戦争について、日本政府は1995年に首相談話を発表した。
村山首相は、
「過去の植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた。
痛切な反省の意を表し、
心からのお詫びの気持ちを表明」
したのである。
日本の侵略戦争は明治の延長上に生じた出来事である。
日中平和友好条約発効40周年の日に、明治150年記念式典に出席することの外交的意味を安倍首相は考えぬらしい。
そして、中国を訪問して習近平国家主席と会談した。
しかし、習近平氏の表情は終始固いままであった。
日中友好の意思は表示されなかった。
その対応も当然のことであると考えられる。
安倍首相は訪中に先立って、9月26日に米国で日米首脳会談を行っている。
この日米首脳会談後に共同声明が発表されている。共同声明では、
「6.第三国の非市場指向型の政策や慣行から日米両国の企業や労働者を守るための協力を強化する。
世界貿易機関(WTO)改革、電子商取引の議論を促進し、知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米または日米欧三極の協力を通じて緊密に作業していく。」
と明記された。
この日米共同声明について、ハガティ駐日大使はメディアのインタビューに応じて、
「中国が行動を改める必要がある。日米が知的財産権侵害など不公平な貿易慣行に連携して取り組むとした共同声明を歓迎する」
と述べた。
訪中を目前にして安倍首相は、米国とともに中国を一方的に非難する共同声明を発表したのである。
この姿勢で日中首脳会談に臨んでも、得るものが少なくなるのは当然のことだ。
安倍首相は当初、日中平和友好条約発効40周年の10月23日に訪中する計画を立てていた。
しかし、中国側がこれを拒絶した。
そして、安倍首相は習近平主席に、2019年の訪日を要請した。
この要請に対して、習近平氏は「前向きに検討する」と回答した。
「訪日する」とは返答しなかったのである。
そして、安倍首相の帰国後、新たに発表されたニュースが、尖閣有事を想定した日米共同行動の策定である。
東京新聞は次のように伝えた。
「複数の政府関係者が3日、尖閣諸島有事を想定して日米政府が2015年改定の日米防衛協力指針に基づき、自衛隊と米軍による初の対中国共同作戦計画の策定作業を進めていることを明らかにした。
軍拡を続ける中国に対抗し、一体化を加速させる日米の実態が一層鮮明になった。
来年3月までの取りまとめを目指し、2016年3月に施行した安全保障関連法の新任務も盛り込むとみられるが、計画内容に関する調整が難航する可能性もある。」
日本が米国と共同で対中国戦争を行う作戦計画を策定していることが明らかにされたのである。
専守防衛の基本原則から完全に逸脱するものである。
自衛権の発動について、1972年10月の政府見解は次のように規定している。
「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることは、あくまでも外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の擁利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの擁利を守るための止むを得ない措置として、はじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。」
安倍首相は日中首脳会談後に日中関係の三原則を確認できたと述べた。
(1)競争から協調へ、(2)お互いパートナーとして脅威にならない、(3)自由で公正な貿易体制の発展
というものだが、これと並行して日本は対中国戦争の共同作戦計画を策定していることになる。
この対応で真の友好関係を築けるわけがない。
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