NHKによる消費税増税推進政府広報番組
NHKは11月20日夜のラジオ番組で
「消費増税まで1年 負担軽減策をどう考える」
と題する特集を放送した。
ゲストは東京財団政策研究所研究主幹の森信茂樹氏。
NHKの番組紹介は次のもの。
「消費税率の10%への引き上げまで1年を切るなかで、景気の冷え込みを防ぐための様々な対策が検討されています。もともと消費増税によって家計の負担は国民全体で年間5兆6000億円程度増えるとされていましたが、対策経費などで最終的に年間2兆2000億円程度になると見られています。消費増税にともない検討されている様々な景気冷え込み対策について専門家に聞きながらともに考えていきます。」
この内容自体が政府広報そのものである。
NHKがゲストとして招いた森信茂樹氏の経歴をNHKは正確に放送する必要がある。
1950年(昭和25年) 広島市中区出身。
1973年(昭和48年) 京都大学法学部卒業、大蔵省入省
1995年(平成7年)6月5日 大蔵省主税局税制第二課長
1997年(平成9年)7月15日 大蔵省主税局総務課長
2001年(平成13年)7月10日 財務省財務総合政策研究所次長
2005年(平成17年)7月13日 財務総合政策研究所長
2006年(平成18年)9月 中央大学大学院法務研究科特任教授
2006年(平成18年)12月 財務省退官
2007年(平成19年)4月 中央大学大学院法務研究科教授
2018年(平成30年)4月 東京財団政策研究所研究主幹 中央大学法科大学院特任教授
森信氏が証券局企画官であったときに私は仕事を受注しており、その後の座談会などでも同席したことがあるから、よく知っている。
きわめて能力の高い官僚であり、また優秀な学者でもある。
ただし、森信氏は保守本流の大蔵官僚=財務官僚であり、財務省の意向に沿って行動していることは間違いないと思われる。
森信氏は主税局税制二課長を経て主税局総務課長に就任しており、財務省の税務行政の中核メンバーである。
主税局総務課長は主税局長に昇格する必須ポストであり、税制変更が重要な局面では主税局長経験者が財務事務次官に就任している。
まさに財務省の税務行政を代表する人物の一人が森信氏なのである。
NHKが消費税問題で森信氏をゲストに招くのは今回だけでない。
NHKは財務省によるTAXのPR=TPR活動の一環として、森信氏を招いて消費税増税を推進する番組を制作しているのだ。
この放送は放送法第4条に抵触するものである。
放送法は次のように定めている。
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
消費税増税の影響について財務省は軽微であるとするが、現実には影響は甚大になる。
財務省は複数税率、プレミアム商品券等に反対し、マイナンバーカード利用を拡大させようとしており、森信氏は番組でこの主張を強調した。
NHKは森信氏とは異なる見解を持つ学者による解説をも放送するべきだ。
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では、消費税増税がもたらす影響について、過去の事例を踏まえて詳述している。
2019年の日本経済にとって消費税増税問題は決定的に重要な影響を与えることになる。
また、安倍内閣はキャッシュレス決済を行える国民だけを対象に消費税減税を実施する方針を示しているが、憲法が保障する「法の下の平等」に完全に反する違憲政策である。
この方式では、2019年10月から2020年6月まで実質的に消費税率が5%に減税され、2020年7月に一気に10%に引き上げられることになる。
減税実施前に激しい消費抑制=買い控えが生じることは間違いないし、2020年7月以降は消費大氷河期が到来することになる。
一連の施策が「日本愚策博覧会」の様相を呈している。
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