現代版奴隷貿易制度創設としての入管法改定
人手不足が深刻と言われる業種がある。
介護・看護
運送
建設
飲食・小売り
宿泊
しかし、労働供給は賃金変化によって変動する。
低い賃金で求職者が少なくても、提示される賃金が上昇すれば求職者が増える。
これが市場原理である。
「人手不足」を叫んでいる業種で、賃金を2倍とか3倍に引き上げてみるとよい。
間違いなく求職者が増えるはずだ。
したがって、「人手不足」ではなく「賃金不足」というのが実態なのである。
安倍首相は、一部の業種で人手不足が深刻だから外国人労働力利用を拡大すると言っているが、これが何を意味するのかを考える必要がある。
人手不足が深刻な業種は
きつい、きたない、危険
の3拍子がそろっている、あるいは、その一部に該当する業種である。
大変な仕事だから、低い賃金では働き手がなかなか現れないのだ。
だから、外国人投入を拡大するというのは、どういうことか。
みなが嫌がる仕事を、安い賃金のまま誰かにやらせるために、外国人を投入する。
外国人労働力の利用拡大は、実質的に「人の輸入」である。
「外国人」を輸入して、みなが嫌がる仕事をさせる。
これは「奴隷貿易」による「奴隷」の輸入と本質的に変わらない。
人権無視、人権軽視の施策である。
きつくて、汚く、危険な仕事であるなら、その労働の重さに見合う賃金を設定すればよいだけのことだ。
高い報酬があるなら、過酷な労働であっても、これに耐えようとする労働者が登場する。
この施策を進めずに、きつくて、汚く、危険な仕事だが、その仕事に見合う賃金を払いたくないから、「外国人に押し付ける」ことは、国の施策として正しいものではない。
「市場原理」を重視する経済政策を謳いながら、なぜ、こうした業種における賃金上昇を国が促さないのか。
世の中にいろいろな仕事があるが、労働の内容によって賃金は千差万別だ。
賃金の水準は基本的に需要と供給のバランスで決定される。
供給に対して需要が過小であれば、賃金が上昇して需給が調整されるのだ。
米国のトランプ大統領が不法入国者に対する規制を強化しようとしている。
米国では不法移民が、上述したような、きつくて、汚く、危険な仕事を、安い賃金で負わされている。
その結果、米国民は、本来は高い報酬を払わなければならない仕事に対する対価を大幅に節約している。
不法移民の入国に対する規制を強化すれば、こうした仕事に安い賃金で就く人は減少する。
このことは、きつくて、汚く、危険な仕事に対する米国人の支払い対価を大幅に引き上げることを迫ることになるだろう。
トランプ大統領が、それだけの覚悟を持って政策を推進しているのかどうかが重要になる。
トランプ大統領は米中貿易戦争を激化させて、中国からの対米輸出製品に対して制裁的な関税率を設定した。
その結果、中国の対米輸出は減少するだろうが、米国人は国内物価の上昇に直面することになる。
そのことを覚悟の上で、米中貿易戦争を推進しているのかが問われることになる。
外国人の流入を増加させることによって、日本の国内でさまざまなコストが発生する。
入国する外国人に対するさまざまなケアも必要になる。
安い賃金で労働供給を得る企業が、そのコストを負担しなければ、そのコストは一般市民に被せられることになる。
一般庶民にコストを被せて、企業が安い賃金コストだけを享受することは不公正である。
実質的な奴隷貿易制度創設と言える入管法改定を、まずは阻止する必要がある。
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