消費税増税なのに金持ち優遇税制温存の言語道断
2019年10月から消費税率を10%に引き上げることについて安倍首相が指示して以降、日本株価の下落が進行している。
世界の株価が下落している主たる要因が三つある。
1.米中貿易戦争の激化、2.米国の金融引き締め政策の継続、そして、3.日本の消費税増税方針である。
歴代政権は「消費税とともに去りぬ」という歴史を形成してきた。
1989年度に消費税を導入した竹下登政権、
1996年度に消費税率を3%から5%に引き上げた橋本龍太郎内閣
が増税後に退陣に追い込まれた。
2014年度に消費税率を5%から8%に引き上げた安倍内閣は日本経済を不況に陥れて退陣に追い込まれる局面にあったが、2014年11月、消費税再増税延期を発表するとともに、GPIFによる株式市場への資金投入、日銀による債券市場への資金投入を発表して株式相場、債券相場を吊り上げて延命を果たした。
この安倍内閣は2017年4月の再増税は延期しないと断言していたが、2016年6月、再度増税延期を表明して2016年7月の参院選に臨んだ。
消費税増税延期を選挙キャンペーンに活用したのである。
その安倍内閣が2019年10月の消費税増税を実施するのかどうかに注目が集まっている。
消費税再増税に踏み切るなら、日本経済は完全に撃墜されることになるだろう。
その先駆け現象が現在の株価下落である。
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をご参照賜りたいが、安倍内閣が推進している消費税増税が2019年の日本経済に決定的な影響を与えることを明確に認識する必要がある。
消費税増税は中止するべきである。
理由が三つある。
第一は、この増税が日本経済を深刻な不況に転落させる主因になること。
第二は、消費税増税が日本の格差問題をさらに深刻化させること。
第三は、消費税増税の前提とされた各種の「我が身を切る改革」が何一つ実行されていないことである。
消費税増税が適正でない理由は次の事実を見れば一目瞭然である。
1989年度と2016年度の税収構造変化の実態は以下に示す通りだ。
税収規模は1989年度が54.9兆円、2016年度が55.5兆円だった。
このなかで主要税目の税収が激変した。
所得税 21.4兆円 → 17.6兆円
法人税 19.0兆円 → 10.3兆円
消費税 3.3兆円 → 17.2兆円
すなわち、
法人税=9兆円減少、
所得税=4兆円減少、
消費税=14兆円増加
これが、日本の税収構造変化の実態である。
消費税増税の理由として、「財政再建」と「社会保障制度の維持」が掲げられてきたが、これが正真正銘の嘘であったことが分かる。
消費税増税は、法人税減税と所得税減税のためだけに実施されてきた。
日本の主権者はこの事実を知らない
日本の主権者がこの事実を知れば、消費税率のさらなる引き上げに同意する可能性はゼロである。
所得税は「能力に応じた課税」であるが、消費税は「能力に応じない課税」=「能力に逆行する課税」である。
日本の格差問題を一段と深刻化させることに消費税増税が貢献する。
このなかで、政府は現行所得税制度が極度の「金持ち優遇」であることを問題にしてきた。
富裕層の所得の中心は金融所得である。
利子・配当、株式譲渡益が富裕層の所得の太宗を占める。
その課税が20%の税率による分離課税であるため、富裕になればなるほど、税負担率が低下するという現実が存在する。
そこで、安倍内閣与党は2017年末にまとめた税制改正で、金融所得課税を見直すことを課題とし、与党税制改正大綱にも「税負担の公平性を担保する観点から総合的に検討する」と明記していた。
ところが、安倍内閣は、株式の配当などの金融所得への課税について、来年度の税制改正での増税を見送る方針を固めたと報じられている。
所得のない国民から高率の消費税率で資金をむしり取る一方、高額所得者への優遇税制を温存する方針を固めたのだ。
日本の主権者は怒り心頭に発しなければならない。
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