安倍内閣は消費税増税によって消滅する
消費税増税問題についての考察を要約して記述する。。
不確定な増税方針
安倍首相は10月15日の臨時閣議で、2019年10月に消費税を予定通り10%に引き上げる考えを改めて示したうえで、経済に影響を及ぼさないように対応することを指示した。
増税実施に関して、8%の軽減税率の設定、キャッシュレス決済を用いた場合のポイント還元、プレミアム商品券販売などの措置を講じる方針を示している。
これらの措置の結果、消費税増税に伴う負担増が本来の5.8兆円から2019年度は2.2兆円に抑制されるとの見通しも示されている。
2015年10月、2017年4月に予定された消費税率の8%から10%への引き上げが、いずれも先送りされてきた。
3度目の正直で増税が断行されるのか、2度あることは3度ある、の言葉に従って、今回も増税が見送られるのか、不透明感は払拭されていない。
安倍内閣の菅義偉官房長官は10月7日のNHK番組で「(消費税引き上げは)リーマンショックのようなことがない限り実施する」と発言した。
「リーマンショックのようなこと」が発生すれば、消費税増税を実施しない可能性に言及したことになる。
国民生活に重大な影響を与える事項が不確定であることは、個人や企業の経済行動に重大な各種影響を与えることになる。
三つの理由
私は消費税増税を中止するべきだと考える。
さらに、まずは5%の水準に消費税率を引き下げるべきだと考える。
理由が三つある。
第一は、消費税増税が国民の分配上の歪みをさらに拡大させること、
第二は、消費税増税が日本経済を不況に転落させる可能性が高いこと、
第三は、消費税増税が歳出構造の見直しを妨げる原因になること、である。
消費税が導入された1989年度の税収と2016年度の税収を比較すると、重要な事実が浮かび上がる。
国税収入規模は1989年度が54.9兆円、2016年度が55.5兆円でほぼ同額である。しかし、税収構成は激変した。
所得税 21.4兆円 → 17.6兆円
法人税 19.0兆円 → 10.3兆円
消費税 3.3兆円 → 17.2兆円
すなわち、
法人税=9兆円減少、
所得税=4兆円減少、
消費税=14兆円増加
これが、日本の税収構造変化の実態である。
一般的に、消費税増税は財政再建と社会保障制度維持のために実施されてきたとの理解が広がっているように思われるが、税収推移の現実は、事実がこの判断とはまったく異なるものであることを示している。
ひとことで言えば、法人税減税と所得税減税を実施するために消費税増税が実行されてきたとの見立てが妥当性を有する。
消費税増税で大企業減税
法人税について政府税制調査会は2007年11月に発表した『抜本的税制改革に向けた基本的考え方』のなかで、法人実効税率に関して同調査会が行った国際比較について、
「課税ベースや社会保険料負担も考慮した企業負担については、我が国の企業負担は現状では国際的に見て必ずしも高い水準にはないとの結果も得た」
と記述している。
政府は法人税減税の必要性が低いとの判断を示していたわけだ。
その後に主要国の一部で法人税率引き下げ等の変化があった点には留意が必要だが、日本では消費税増税関連法が制定された2012年度以降、大規模な法人税減税が実行されてきた。
消費税増税の賛同を得るために巨大資本に利益供与が行われたと見ることができる。
消費税の最大の問題点として指摘されるのが逆進性である。
所得税が「能力に応じた課税」の考え方をベースに、所得の少ない階層には税負担を求めず、所得が増大するに連れて高税率での税負担を求めるのに対し、消費税は高額所得者と無所得者に同水準の税率が適用される。
このため、低所得者層にとっては、極めて過酷な税負担が発生している。
法人税負担、所得税負担が大幅に軽減される一方で、消費税負担が急激に拡大してきたことが、日本の格差問題を拡大させてきた重要な一因になっている。
これらの状況を踏まえれば、消費税増税がいかに間違った政策であるのかは明白である。
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