翁長氏県民葬での怒号は安倍首相に向けられたもの
急逝した翁長雄志前沖縄県知事の県民葬が10月9日に執り行われた。
沖縄タイムス社はYouTubeで県民葬をライブ配信した。
https://www.youtube.com/watch?v=UK09BzBrqoM
アーカイブス映像は随時閲覧できる。
政府を代表して菅義偉官房長官が、安倍首相の弔辞を代読したが、代読が終了する場面から、参列した県民から菅官房長官への怒声がこだました。
菅氏は、
「基地負担の軽減に向けて一つ一つ確実に結果を出していく決意だ。
県民の気持ちに寄り添いながら沖縄の振興・発展に全力を尽くす」
と弔辞を読み上げたが、この言葉に対して会場から、「うそつき」、「帰れ」などの怒声が沸き上がった。
沖縄県民は、2014年の前回知事選を含めて、辺野古米軍基地建設反対の意思を繰り返し表明してきた。
地方自治の本旨に照らし、沖縄県民の同意なき米軍基地建設強行は許されない。
普天間飛行場の閉鎖が、その危険性から求められるのは当然のことだが、これと辺野古での新たな米軍基地建設をリンクさせることが間違っている。
極東の政治情勢が急変し、米軍の再編が進行する。
そして何よりも、そもそも、米軍の日本駐留そのものが問題なのである。
日本が敗戦を受け入れたポツダム宣言、そして、日本の主権回復をもたらしたサンフランシスコ講和条約には、日本の独立回復後の外国軍隊撤退が明記されている。
この規定に反する状況が永続している。
1952年の日本の主権回復の際に、日本政府は沖縄を切り棄てた。
第二次大戦末期に日本政府と日本軍は本土決戦への時間稼ぎのために沖縄を切り棄てた。
日本政府は二度にわたって、沖縄を切り棄てたという歴史的事実を背負っている。
1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効に際して、沖縄を含む南西諸島は日本から切り棄てられた。
そして、切り棄てられた沖縄の人々を待ち受けていたのは、銃剣とブルドーザによる土地の強制収容であった。
沖縄は基地の島にされた。
いまなお、日本に存在する米軍施設の7割が、面積比0.6%の沖縄県に集中している。
そして、日本政府が建設を強行している辺野古の海は、ジュゴンが生息するかけがえのない自然資源を擁する「美ら海」なのだ。
菅官房長官は、沖縄の主権者が繰り返し、辺野古米軍基地建設反対の意思を明示しているにもかかわらず、辺野古が唯一の解決策と、木で鼻をくくった言い回しを続けてきた。
沖縄の人々の心に寄り添う姿勢など皆無であり続けている。
沖縄県知事選では三度も沖縄に入り、政府の予算権限を背景に、札束で沖縄の人々の頬を叩きつける利益誘導選挙を全面展開した。
玉城氏に対する不正な虚偽情報流布にも、菅官房長官が関与しているとの説も浮上している。
その菅官房長官が翁長氏の葬儀に出席して、「県民の気持ちに寄り添う」と読み上げたのだから、県民から「うそつき」の怒声が発せられても、当然のことだと言わざるを得ない。
県民葬は本来9月19日に執り行われるはずだった。
沖縄県の基準で、県民葬は死去から49日内に行うこととされていた。
ところが、沖縄県知事選前に県民葬が執り行われると、選挙で翁長氏の後継候補である玉城デニー氏に有利に作用するとの主張が安倍内閣与党勢力から出され、この主張が押し通された。
県民葬基準を逸脱して日程を10月9日に先送りした決定そのものが、不当な選挙活動であると言える。
安倍内閣が支援した候補者が選挙に勝利していれば、安倍首相が県民葬に出席したはずである。
県知事選に大敗したから安倍首相は欠席した。
そして、菅氏が代理出席させられて怒声を浴びたのである。
この怒声は、安倍首相自身に向けられたものであると考えるべきだ。
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