『日本が売られる』全面展開安倍所信表明演説
10月24日、臨時国会が召集され、安倍首相が所信表明演説を行った。
スピーチライターが書いた原稿をただ読み上げただけのもので、新鮮味のかけらもないものだった。
安倍首相のレームダック化が急速に進行し始めて、いよいよ「安倍内閣の終わり」が始動した感が強い。
所信表明演説には人々を引きつける「引力」が必要だが、その「引力」がまったく感じられない。
安倍首相は
「国民一致の力でなければ、到底国家の進運を図ることはできぬ」
の言葉を引用したが、国民が一致して求めていないことを強引に推し進めようとして、国家の進運を図れるわけがない。
安倍首相は、
「常に民意の存するところを考察すべし」
と発言したが、ここまで白々しい言葉が並べられると、多くの国民が聞く耳を塞ぐことになるだろう。
「民意の存するところを考察する」
なら、なぜ、沖縄県民が繰り返し民意を表明している「辺野古米軍基地建設中止」を決断しないのか。
知事選に敗北すると前知事の県民葬に出席するのもやめた。
菅官房長官は式場で怒号にまみれたが、嫌な仕事だけ部下に押し付けるのもリーダーの行動として恥ずべきものだ。
所信表明演説で提示された施策に大多数の主権者国民が反対している。
これらの施策を「民意の存するところ」に反して押し通すことはやめてもらいたい。
安倍首相は農林水産業の破壊を進めている。
日本の農家の平均年齢が66歳を超えているのは事実で、若い人々が積極的に農業に取り組める環境を整備することは重要である。
しかし、このことは、農家による農業を廃して、巨大資本に日本農業を支配させることを正当化する理由にならない。
地産地消で、人々が安心して食べることのできる、安全な農産物を生産する農業が、若い世代が参入する農家によって安定的に維持される体制を構築することが重要なのだ。
巨大資本の農業への参入は、農業を利潤追求のためだけの存在に矮小化させてしまう。
国民への安全・安心の食料の安定的供給という、一番大切な目標は完全崩壊してしまうことになる。
安倍内閣は臨時国会で水産業改変を強行しようとしている。
これも悪の巣窟である「規制改革推進会議」が提示するものである。
安倍内閣は日米協議で、ハゲタカ資本の要望を規制改革会議で取り上げて、日本政府が必要な施策を取ることを約束してしまった。
このために、ハゲタカファーストの施策が、次から次に規制改革会議の俎上に載せられ、それが法案となって国会に提出されている。
水産業改変も、日本の水産業を地域に根ざす漁民の手から奪ってハゲタカ資本の支配下に移行させるためのものである。
外国人材の受入拡大は、ハゲタカ資本=大資本の悲願である。
安倍内閣が推進する労働規制改変は、すべてが大資本の要請に基づくものである。
正規から非正規へのシフト加速
長時間残業の合法化
残業代ゼロ制度の拡大
解雇の自由化
に並び、ハゲタカ資本=大資本が強く求めているのが外国人労働力の活用拡大だ。
これは実質的な「人の輸入」である。
海外の安価な人を輸入して国内の労働者に代替する。
安い米国産の米輸入を拡大して、国内産米を窮地に追い込むことと共通する。
さらに、外交では北朝鮮、ロシア外交が完全に行き詰まり、米国との協議では、安倍首相がやらないと宣言してきた日米FTA協議開始が強要されることになった。
さらに、憲法尊重擁護義務を負う安倍首相が、政府の提案もせずに、政党による憲法改定をそそのかす暴挙に出た。
熟慮した結果の提案があるなら政府が提示すれば良いだけのことだ。
内容も示さずに政党に憲法改定をけしかけるのは、憲法尊重擁護義務に反する暴挙である。
いよいよ2019年の内閣総辞職の可能性が濃厚になりつつある。
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