米中貿易戦争への安倍首相加担問う中国政府
臨時国会の召集が10月24日になるとの見方が強まっている。
当初は10月23日から25日に安倍首相が訪中し、帰国後に臨時国会を召集する予定であったが、中国が10月23日の安倍首相訪中を拒絶した。
安倍首相の訪中は2日遅れの10月25日になる見通しである。
10月23日は特別な意味を持つ日である。
40年前の1978年10月23日に、日中平和友好条約が発効した。
1972年9月の日中国交正常化に伴う日中共同声明第8項に「平和友好条約の締結を目的として交渉を行うことに合意」と明記された。
紆余曲折の末、日中平和友好条約は1978年8月12日に北京で締結された。
1978年10月18日、日中平和友好条約批准案は国会の衆参両院で共に圧倒的多数で承認され、10月22日に中国最高指導者の鄧小平副首相が来日。
10月23日に批准書が交換され、同日条約が発効した。
条約発効から満40年の記念日が本年の10月23日である。
安倍首相は、この日に訪中することを計画していたが、中国がこれを拒絶した。
9月26日の日米首脳会談後に共同声明が発表された。
その第6項に以下の記述がある。
6.第三国の非市場指向型の政策や慣行から日米両国の企業や労働者を守るための協力を強化する。世界貿易機関(WTO)改革、電子商取引の議論を促進し、知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米または日米欧三極の協力を通じて緊密に作業していく。
この点について、米国のハガティ駐日大使が産経新聞のインタビューで次のように発言している。
「中国が行動を改める必要がある。日米が知的財産権侵害など不公平な貿易慣行に連携して取り組むとした共同声明を歓迎する」
日米共同声明の第6項が、中国を念頭に置いて書かれたことは明白である。
9月26日の国連総会での演説でトランプ大統領は次のように述べた。
「私たちはグローバリズムの思想を拒否し、愛国主義の精神を大事にする」
これに対して、中国の王毅外相は、膨大な貿易赤字を理由に制裁関税をかけるアメリカの対応を「保護主義だ」などと時間をかけて批判した。
王毅外相は次のように述べた。
「われわれは現在の多国間主義を維持するのか、単独行動主義に好きにさせるのか。今の国際秩序を維持すべきか、腐敗にむしばまれることを許すのか。これは人類の運命にとって極めて重要な問題だ」
「中国は一度も多国間主義に対する信念が揺らいだことはない」
「中国は多国間主義への関与を維持し、そのチャンピオンであり続ける」
さらに、ウィンウィンの協力関係、規則や秩序にのっとっての行動、他国の主権や独立の尊重などの原則が重要であることを述べた。
中国の主張をそのまま鵜呑みにすることはできないが、中国はトランプ大統領のグローバリズム批判を踏まえて、中国の多国間主義を強調したのである。
こうした経緯があるなかでの日米共同声明発表であり、その内容についてのハガティ駐日大使の発言をも踏まえた中国の対応である。
訪中する安倍首相は習近平主席との首脳会談で何を述べるのか。
そもそも、習近平氏との長時間の首脳会談が設営されるのか。
米国と中国の間で日本は独自外交を展開するべき局面であるが、対米隷属の安倍首相には、独自外交、対米自立という発想がない。
二枚舌を使えば日中両国から不興を買うだけである。
臨時国会は、こうした経緯から10月24日に召集される可能性が高まっている。
会期は12月上旬までが見込まれている。
10月24日に国会が召集される場合、安倍首相が所信表明演説を行い、訪中後の10月29日以降に与野党の代表質問などが実施されることになる。
臨時国会では、西日本豪雨、台風21号被害、北海道胆振東部地震などの復旧・復興費を盛り込んだ2018年度補正予算案のほか、外国人労働者の受け入れ拡大に伴って新しい在留資格を設ける出入国管理法改正案などが審議される見通しである。
安倍首相は自民党単独で憲法改正案を提出し、臨時国会での憲法改正発議を目論むが、客観情勢は安倍首相の拙速さが目に余るものであることを示している。
加計疑惑もまったく解消されていない。
麻生太郎財務省の責任問題も放置されたままである。
安倍内閣与党は最大の試金石となった沖縄県知事選に大敗し、凋落の坂を転げ落ち始めている。
政権終焉が驚くほど前倒しになる可能性がある。
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