不争・無欲・謙虚という水の特性から学ぶ
台風21号が襲来し、大きな被害が発生した。
「非常に強い勢力」を保ったままの上陸は25年ぶりのことであると報じられている。
この台風では雨よりも風による被害が大きかった。
台風の台風たる所以は「風」にあり、「風」への警戒が必要なのだ。
改めて自然の猛威の恐ろしさを痛感させることになった。
人間は自然の猛威の前には弱い存在だ。
この現実を私たちは銘記しておくべきである。
人として生きてゆく際に、何よりも大切なことは命を大切にすることである。
命あっての人生だ。
そして、傲慢にならずに、謙虚に、身を守ることを考える必要がある。
同時に大切なことは、わが身を大切にするだけでなく、他者の命、人権をも大切にすること。
東日本大震災による津波でも大きなが犠牲が生まれた。
自然の力の前に謙虚な姿勢で、自らの命を守る意識と行動が必要である。
台風の報道では現場から状況を伝えるレポーターが一種のショーを演じる。
現場からの生中継であるにもかかわらず、事前に用意した原稿を読み上げるから、映像と説明がミスマッチであることも少なくない。
テレビの視聴率を上げるには、現場のすさまじさを盛り上げる必要があるのだろうが、過剰な説明ぶりが目につく。
他方で、台風で屋外に出ることが非常に危険であることを訴えながら、レポーターがわざわざ屋外から生中継することが繰り返される。
とりわけ、暴風に襲われている現場では、不測の事態が発生しないとも限らない。
視聴者に安全を重視する対応を求めながら、レポーターが危険な屋外での実況をすることは適正な行動と言えない。
レポーターが暴走しているのではなく、番組制作者がレポーターに危険な実況を強要しているのだと考えられる。
番組制作者の節度ある対応が強く求められる。危険な業務の強要は許されるべきでない。
不可抗力の事故もあるが、自然に対する畏怖=畏れを抱き、謙虚な気持ちで真摯に自然と向き合うことによってわが身を守ることのできる余地は決して小さくない。
猛烈な台風の襲来が正確に予想されており、台風への対応についての情報も十分に提供されているなかで、備えをおろそかにする、あるいは無謀な行動を取ったために発生する被害というものは、天災の範疇ではなく、人災の範疇に入れて考えるべきだ。
自然の脅威と言えば風に並ぶ脅威が水である。
津波にしても高潮にしても水の力に人間が抗うことは難しい。
人は水を畏れる必要があるが、同時に水から学ぶことも多い。
「上善如水=上善は水の如し」は老子の言葉。
デジタル大辞泉に次のようにある。
「最高の善は水のようなものである。万物に利益をあたえながらも、他と争わず器に従って形を変え、自らは低い位置に身を置くという水の性質を、最高の善のたとえとしたことば」
老子は第43章で、
「天下の至柔(しじゅう)は、天下の至堅(しけん)を馳騁(ちてい)す」
と説く。
「あらゆるもののなかで、もっとも柔らかく弱々しいもの(水)が、実はもっとも堅くたくましいもの(岩石や巨木)を思い通り走らせる。」
これが「水」の特性だ。
老子第43章は次のように続く。
「有る無きものは、間(すきま)無きに入る。吾れここを以(も)って無為の益あることを知る。不言の教(おしえ)、無為の益は、天下これに及ぶもの希(まれ)なり。」
「決まった実体を持たぬものだけが本当にわずかな隙間に入り込む事が出来る。私はこのことによって無為であることの有益さを理解している。言葉に頼らない無言の教えと、無為であることの有益さに匹敵するものは、この世にはほとんど無い。」
「無為の有益を知る」は老子の基本姿勢である。
不争、無欲、謙虚の生き方が、道にかなった生き方、まことの善であるとするのが老子の言葉の核心だ。
安倍政治の真逆に位置するものであると言える。
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