グリホサート基準緩和安倍内閣の正体
モンサント社の除草剤「ラウンドアップ」の使用ががん発症につながったとする損害賠償請求訴訟で、米国サンフランシスコ州の裁判所が本年8月10日に、原告の訴えを認めてモンサント社に2億8900万ドル(約320億円)の支払いを命じる判断を示したことを本ブログ、メルマガに記述した。
「発がん性で320億円賠償責任のラウンドアップ」
https://bit.ly/2MlyRZw
カリフォルニア州で学校の管理をしていたドウェイン・ジョンソン氏が、校庭の除草と整備のためにモンサント社が開発した除草剤ラウンドアップを数年にわたって使用し、それが原因でがんの一種である悪性リンパ腫を発症したと訴えていた訴訟である。
カリフォルニア州裁判所の陪審員は、ラウンドアップの主成分である「グリホサート」に発がん性が考えられるにもかかわらず、モンサントはその危険を十分に伝えていなかったとして、全員一致で原告の訴えを認めたのだ。
「ラウンドアップ」は日本で広く市販されている。
ホームセンター、ドラッグストア、100円ショップなど、いたるところで市民が自由に購入できるようになっている。
しかし、米国の裁判所判断が示すように、健康被害が強く疑われている商品なのである。
ラウンドアップの大元の製造者は米国のモンサント社だ。
現在、モンサント社はドイツのバイエル社に買収されたため、独立企業としての社名は消えた。
しかし、その名は世界にとどろいている。
モンサント社は1901年に米国ミズーリ州で創業された企業で、1960-1970年代にベトナム戦争で米国軍が使用した枯葉剤を製造した企業である。
枯葉剤がどのような悲劇を生み出してきたかはよく知られている。
このモンサント社が開発し、製造しているのが除草剤「ラウンドアップ」である。
ラウンドアップの有効成分はグリホサートで、グリホサートの発がん性に対する懸念が高まっている。
2015年3月20日にWHOの外部研究機関IARC(国際ガン研究機関)がグリホサートをグループ2A ”probably carcinogenic to humans”(=おそらく人に発がん性がある)という上から二番目にリスクの高いカテゴリーに分類したことを発表した。
IARCはグリホサートについて、
「人の非ホジキンリンパ腫に対して限られた根拠があり、さらに動物実験では発がん性の明白な根拠がある」
との結論を示した。
この発表を受けるかたちで、米国カリフォルニア州環境保健有害性評価局(OEHHA)は、2017年6月26日に、同州で定める通称プロポジション65の物質リストに発ガン性物質としてグリホサートを加えるとの声明を発表した。
カリフォルニア州の裁判所判断は、これらのプロセスを踏まえてのものであると考えられる。
グリホサートは発ガン性以外に、内分泌撹乱物質として生殖機能に影響を与える可能性があり、腸内細菌を損ないアレルギーなど自己免疫疾患の原因となる、あるいは神経毒として自閉症や認知症を誘発する可能性があると指摘されている物質で、世界的に使用禁止に向けての動きが活発化している。
こうしたなかで日本政府は真逆の対応を示している。
日本政府は昨年12月25日に、グリホサートの残留基準値を最大400倍も引き上げた。
遺伝子組み換え種子による農作物を摂取することの危険は、遺伝子組み換え食物自体が持つ危険性だけによるものでない。
遺伝子組み換え種子は、強力な除草剤に対する耐性を付与することを目的に開発されている。
強力な除草剤を散布しても枯れない種が遺伝子組み換えによって創作されている。
その結果として、遺伝子組み換え種子がもたらす農産物に、除草剤成分が強く残留することになる。
その除草剤成分の摂取が重大な健康被害をもたらす危険が警戒されるのだ。
除草剤成分の残留基準値が引き上げられれば、除草剤販売が容易になるから除草剤メーカーは歓迎する。
メーカーは政府に強い働きかけを行っている。
農家に対しては、除草剤を大量に散布しても生産物が規制で排除されることがないとアピールできる。
今回の基準値引き上げで、小麦の残留基準値は6倍に引き上げられた。
ヒマワリは400倍だ。
小麦はパンの主原料であり、基準が緩和されればパン摂取に伴うグリホサート摂取量が増す危険性が高まる。
安倍内閣は日本の主権者の命と健康ではなく、ハゲタカ大資本の利益極大化のために行動していると言わざるを得ない。
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