わが胸の燃ゆる思ひにくらぶれば煙はうすし桜島山
“我が胸の 燃ゆる思ひにくらぶれば 煙はうすし 桜島山”
幕末の志士、平野国臣が詠んだ歌が話題を呼んでいる。
すでに日刊ゲンダイが伝えているが、安倍首相が8月27日に総裁選への出馬決意を表明する際、自身のツイッターに投稿したものだ。
安倍首相は鹿児島で錦江湾に聳え立つ桜島を背景に総裁選への出馬表明を行った。
出馬表明に先立つ鹿児島での講演では、
「薩摩と長州で力を合わせ、新たな時代を切り開いていきたい」
と語って「薩長同盟」を気取っていた。
日刊ゲンダイは次のように伝える。
「この歌意を巡って、「安倍首相は意味を理解しているのか」と嘲笑する声が飛び交っている。
「我が胸の――」は、関西吟詩文化協会によると<私の心のうちにある熱い尊王攘夷への情熱にくらべてみると、あの黒黒と噴き上げている桜島の煙など、まだまだ薄いものよ>という意味。
この歌は、福岡藩士だった国臣が薩摩藩(現・鹿児島県)で攘夷活動をしようとしたが拒まれたため、薩摩への失望を込めて詠んだと言われている。」
「薩長同盟」をアピールしながら、薩摩を批判する歌を総裁選への出馬表明の「渾身の」ツイッターの決めフレーズに用いるところに、安倍首相の力量がにじみ出ている。
そもそも、明治維新は日本国民が企画・実行した政変とは言えない面が強い。
坂本龍馬が活動の拠点とした長崎のグラーバー商会でさえ、ロスチャイルド系の武器商社で、中国のアヘン戦争で中核的役割を担ったジャーディンマセソン商会の日本総代理店という事実を有していた。
ロスチャイルド資本は英国を通じて薩長を支援し、フランスを通じて幕府を支え、日本における内戦を画策したと考えられる。
実際に戊辰戦争が勃発したが、戦争の帰結を決定したのは、アームストロング砲が官軍に提供されたことによる面が強い。
欧州巨大金融資本が日本における政変を誘導し、政変後は朝廷の権威を利用して日本支配を実現したと言える。
同時に巨大資本は徳川家をも殲滅してはいない。
徳川家を維新後も温存する対応を示してきた。
明治維新を契機に、日本は欧米金融資本が支配する体制に移行し、その流れは現在まで引き継がれていると言える。
戊辰戦争では薩長に対して奥羽越列藩同盟が最後まで抵抗した。
薩長官軍対奥羽越列藩同盟の闘いの余韻は現在まで引き継がれている。
2016年7月参院選の選挙区選挙では、北海道、秋田を除く東北、新潟、長野、山梨、大分、沖縄で反自公勢力が勝利を収めている。
薩長対奥羽越列藩同盟の闘いはいまなお持続しているとみることができるのだ。
安倍首相の薩長発言は日本の歴史的な対立を改めて明確にするものであり、日本国首相の発言として、いささか適切さを欠いている。
さらに、薩長同盟を彷彿させておきながら、薩摩を非難する意味が込められている歌を掲げるのはあまりにもお粗末だ。
国会答弁で官僚が用意した原稿にあった「云々」という漢字を「でんでん」と読み上げて、答弁を聞いている側がキツネにつままれたことがあったが、これではLeaderどころかReaderにもなれないと揶揄されてしまう。
安倍首相の皇室に対する基本姿勢は、その権威を尊崇するものではなく、常に政治利用するものでしかない。
これは明治政変以来の基本構造である。
明治以降の日本の軍国主義体質、金権腐敗体質は長州に起源を持つものであると言ってもよいだろう。
明治維新に関する研究、再考察が活発化しているが、現代日本を理解するために、維新の真実を徹底的に明らかにする必要があると言える。
閑話休題。
安倍政治の今後は極めて厳しいものがある。
総裁選直後に沖縄県知事選がある。
そして、鬼門の消費税増税問題が控えている。
この二つの難関を乗り越えられなければ、安倍内閣は落日を迎えることになるだろう。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
http://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第2129号「消費税増税強行なら安倍内閣は終焉へ」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
![]() |
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料 |
|
「国富」喪失 (詩想社新書) 価格:994円 通常配送無料 |
|
反グローバリズム旋風で世界はこうなる~日経平均2万3000円、NYダウ2万ドル時代へ! ~(TRI REPORT CY2017) 価格:1,620円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
|
泥沼ニッポンの再生 価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
|
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016) 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
|
米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:星雲社 |
|
安保法制の落とし穴 価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015) 価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章 価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
![]() |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 出版社:講談社 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« グリホサート基準緩和安倍内閣の正体 | トップページ | 沖縄県知事選候補は辺野古基地賛否明確に! »
「2018年沖縄県知事選」カテゴリの記事
- 沖縄知事選自民意見広告が示す安倍政治の本質(2018.10.02)
- 辺野古基地NO県民の暮らし最優先玉城氏圧勝(2018.10.01)
- 台風一過沖縄県知事選に最後まで力尽くす(2018.09.30)
- 沖縄知事選投票日繰り上げは不正選挙一環か(2018.09.27)
- 台風24号日本直撃可能性と期日前投票の勧め(2018.09.24)