安倍政治の終わりの始まり意味する自民党党首選
昨日、9月20日のグローバリズムを考えるシンポジウムには、雨天にもかかわらず、多くの方に参加賜り、深く感謝申し上げたい。
シンポジウムでは、内田聖子さん、山田正彦元農水相、私から話をさせていただいた。
時間の制約で質疑の時間が短くなってしまったが、現在の日本の問題点についての理解を深め、世界の各地で広がる反グローバリズムの活動につても貴重な情報を共有できたと思う。
安倍政治が熱烈に推進しているTPPや日欧EPAなどの枠組みは、グローバルに活動を拡大する世界の巨大資本の利益極大化を目的とするものである。
巨大資本の利益極大化は一般市民の利益を極小化するものである。
大資本が安倍政治を支持、歓迎することは順当であるが、一般市民が安倍政治を支持することは適正でない。
市民にとって大事なことは、真実を正確に把握することである。
グローバリズムについてヘレナ・ノーバーグ・ホッジさんは次のように述べる(『いよいよローカルの時代~ヘレナさんの「幸せの経済学」』、ヘレナ・ノーバーグ・ホッジ、辻信一、大槻書店、2009年)
「多国籍企業は、すべての障害物を取り除いて、ビジネスを巨大化させていくために、それぞれの国の政府に向かって、ああしろ、こうしろと命令する。
選挙の投票によって私達が物事を決めているかのように見えるけれども、実際にはその選ばれた代表たちが大きなお金と利権によって動かされ、コントロールされている。
しかも、多国籍企業という大帝国は、新聞やテレビなどのメディアと、科学や学問といった知の大元を握って、私達を洗脳している。」
(鈴木宣弘氏による『自由貿易下における農業農村の再生』所収論文での記述より引用)
グローバリズムの本質を極めて正確に記述したものだ。
この指摘のなかでとりわけ重要な点は「多国籍企業という大帝国は、新聞やテレビなどのメディアと、科学や学問といった知の大元を握って、私達を洗脳している」という部分だ。
大資本はその資本力によってメディアを支配している。
市民は自分でものごとを判断しているように錯覚するが、その判断は、ほとんど場合、メディアの情報誘導によって形成されたものである。
また、政治について、私たちは選挙の投票によって自分たちでものごとを決めているように錯覚するが、実際にはその選ばれた代表たちが大資本の資金力によって動かされている。
結局のところ、すべてが巨大資本の資金力によってコントロールされてしまっているのである。
この巨大なメカニズムを正確に理解し、把握することが重要である。
そのうえで、そのメカニズムの是非を市民の目で再評価し、是正を図ることが重要なのだ。
この意味での「知られざる真実」を知ることが極めて大切だ。
安倍政治をメディアの情報誘導に乗せられて支持してしまうことは、市民が自分で自分の首を絞めることに等しいと言える。
自民党の党首選が実施されて安倍晋三氏が3選を果たした。
安倍政治が当面は残存することが決まった。
しかし、自民党内部においてさえ、安倍支持に著しい翳りが生じていることが明らかになった意味は大きい。
安倍首相は党首選に際して、権力を笠に着た見苦しい締め付けを展開した。
党首であり首相である安倍氏は強大な人事権を有している。
この人事権に影響を受けて国会議員の多数が安倍氏に投票したが、それでも事前の見通しと比較すると、安倍氏は得票を大幅に減らした。
他方、直接的な人事権の影響が少ない党員票では投票結果は55対45の僅差になった。
安倍陣営の国会議員が党員に強く働きかけたにもかかわらず、石破氏を支持する党員票は安倍票に肉薄したのである。
選挙結果に大きな影響を与えたのは、石破氏が明らかにした日本経済の現状についての指摘である。
アベノミクス下で大資本の利益は拡大し、株価が上昇したのは事実だが、その裏側で労働者の実質所得が大幅に減少し、地方経済の疲弊が進行している。
安倍内閣のグローバリズム推進政策によって、日本の農林水産業が存亡の機に立たされている。
この事実の指摘が、とりわけ地方における党員票の造反をもたらしたのだと言える。
人々は真実を知ることによって行動を変化させる。
グローバリズムの荒波を和らげて、市民の幸福を追求する政治と社会を実現するには、まずは、私たちが真実を正しく知ることが必要不可欠である。
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