美(ちゅ)ら海壊し 基地造る 暴政止める 弔い選挙
沖縄県が埋め立て承認を撤回した。
急逝した翁長雄志知事が着手した撤回の手続きを踏襲したものである。
安倍内閣は直ちに法的な対抗措置を取るもの見られる。
撤回問題は法廷闘争に持ち込まれることになる。
9月13日告示、9月30日投開票の沖縄県知事選には沖縄県政与党から自由党衆議院議員の玉城デニー氏が立候補する。
他方、国政与党である自公サイドは宜野湾市長の佐喜眞淳氏を擁立することをすでに決めている。
県知事選は事実上の一騎打ちの闘いになる。
この選挙は翁長雄志前知事が急逝したことにより、前倒しで実施されることになったもの。
安倍内閣は撤回問題を法廷闘争に移行させ、辺野古米軍基地建設の是非を知事選争点からずらすことを目論んできた。
しかし、翁長雄志前知事が埋め立て承認撤回の手続きに着手した時点で急逝し、知事選が翁長知事の弔い合戦になったことで目算が狂った。
それでも、佐喜眞候補は辺野古米軍基地建設の是非を明確にしないまま選挙に臨む姿勢を示しており、知事選争点を基地問題ではなく、経済問題に差し替えようとする意図は残存しているものと考えられる。
今回の埋め立て承認撤回は、防衛省沖縄防衛局による環境保全措置に問題があることを理由とするもの(要件撤回)であり、2014年11月の知事選で辺野古米軍基地建設を拒絶する民意が示されたことを理由とするもの(公益撤回)ではない。
翁長前知事は前回知事選の前から、そして選挙中、選挙後を通じて、選挙で示される民意が撤回の根拠になることを明言していたが、選挙で示された民意を根拠にする撤回に踏み切らなかった。
同じ「撤回」でも、手続き上の瑕疵を理由とする要件撤回と沖縄県民の意思を根拠とする公益撤回では、意味も重みも異なることになる。
佐喜眞候補に対しては自公に加えて維新が支援の方針を決めている。
佐喜眞氏は自公維が支援する候補になる。
このうち公明党は、辺野古米軍基地建設について表向きは反対の意思を表明している。
しかし、佐喜眞氏が当選する場合に佐喜眞氏が辺野古米軍基地建設を容認するであろうことは疑いようがない。
ここには重大な矛盾がある。
「不幸の原因は矛盾にある」と言われる。
実態としては辺野古米軍基地建設容認であるのに、沖縄の主権者に対して、その事実を正確に伝えず、あいまいな言辞を示すことはきわめて不誠実な姿勢である。
他方、玉城デニー候補は立憲民主、国民民主、共産、社民、自由の国政野党5党の支援を受ける。
国政の対立図式がそのまま県知事選の基本構図になる。
玉城候補は佐喜眞氏とのスタンスの違いを明確にするために、新知事に選出された場合には、改めて、沖縄県の主権者の意思を根拠にした埋め立て承認撤回を行うべきである。
今回知事選の最大争点を辺野古米軍基地建設の是非と位置づけ、沖縄の主権者の判断を仰ぐことが望ましい。
佐喜眞候補は基地問題が争点にならないとするなら、辺野古米軍基地建設阻止の方針を明確に公約に示すべきだ。
あいまい戦術でのらりくらりとかわし、選挙後に基地建設容認に転じるような行動はきわめて不誠実である。
昨年10月の衆院総選挙比例代表選の政党別得票状況は以下のとおりである。
自公新 302,655
立希共社 325,983
自由党は比例代表選挙に参加していないから、自由党支持者の投票は他党得票に含まれている。
国政与党系政党への投票が30.3万票。
国政野党系政党への投票が32.6万票である。
オール沖縄陣営の保守系勢力が脱落したことで、オール沖縄陣営の得票減が懸念されているが、保守系票が脱落しても、基礎票において国政野党系得票が国政与党系得票を上回っている。
札束でほおを叩いて沖縄をひざまずかせる安倍内閣の基本姿勢にNOを突き付ける主権者が大同団結、結集すれば、国政与党系候補を打ち破ることができる。
「美(ちゅ)ら海壊し 基地造る 暴政止める 弔い選挙」
に、沖縄のアイデンティティーに基づいて結集する主権者は、必ず勝利しなければならない。
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