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2018年7月13日 (金)

死刑合憲最高裁判決根拠は崩壊している

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」


の言葉があるが、彼も知らず、己も知らなければ、百戦百敗を免れないだろう。


オウム事件の死刑囚7名の死刑同時執行。


世界から非難の声が挙がっている。


オウム事件の犯罪事実を容認するものではないが、死刑という刑罰のあり方が世界の趨勢に完全に逆行している。


「他の刑罰が奪う利益と異なり、死刑は、生命という全ての利益の帰属主体そのものの存在を滅却するのであるから、取り返しがつかず、他の刑罰とは本質的に異なる」(日本弁護士連合会)からである。


日弁連は、
「死刑制度について考察する際には、死刑制度が、基本的人権の核をなす生命に対する権利(国際人権(自由権)規約第6条)を国が剥奪する制度であり、国際人権(自由権)規約委員会や国連人権理事会から廃止を十分考慮するよう求められていることに留意しなければならない」
としている。


死刑は国家による殺人であると同時に、日本国憲法には次の条文が置かれている。


第三十六条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。


死刑が「公務員による拷問及び残虐な刑罰」に該当するとの判断は、極めて正当なものである。

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1948年3月12日に最高裁判大法廷が、「日本国憲法の主旨と死刑制度の存在は矛盾せず、合憲である」との判決を示したために、死刑制度が合憲とされてきた。


しかし、この最高裁判決には、


「刑罰としての死刑そのものが、一般に直ちに同条のいわゆる残虐な刑罰に該当するとは考えられない。
ただ死刑といえども、他の刑罰の場合におけると同様に、その執行の方法等がその時代と環境とにおいて人道上の見地から一般に残虐性を有するものと認められる場合には、勿論これを残虐な刑罰といわねばならぬから、将来若し死刑について火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆでの刑のごとき残虐な執行方法を定める法律が制定されたとするならば、その法律こそは、まさに憲法第三十六条に違反するものというべきである。」


の一文が盛り込まれている。


さらに、


「ある刑罰が残虐であるかどうかの判断は国民感情によつて定まる問題である。
而して国民感情は、時代とともに変遷することを免かれないのであるから、ある時代に残虐な刑罰でないとされたものが、後の時代に反対に判断されることも在りうることである。
したがつて、国家の文化が高度に発達して正義と秩序を基調とする平和的社会が実現し、公共の福祉のために死刑の威嚇による犯罪の防止を必要と感じない時代に達したならば、死刑もまた残虐な刑罰として国民感情により否定されるにちがいない。
かかる場合には、憲法第31条の解釈もおのずから制限されて、死刑は残虐な刑罰として憲法に違反するものとして、排除されることもあろう。
しかし、今日はまだこのような時期に達したものとはいうことができない。」


との補充意見も付せられている。

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上記最高裁判決では、


「すなわち憲法は、現代多数の文化国家におけると同様に、刑罰として死刑の存置を想定し、これを是認したものと解すべきである」


と述べているが、「現代多数の文化国家におけると同様に」の記述は、時代の変遷とともに、その妥当性が完全に失われている。


すなわち、現在においては、法律上死刑を廃止している国と事実上死刑を廃止している国の合計が141か国に達しており、世界の中で3分の2以上を占めている。


また、OECD加盟34ヵ国のなかで、死刑を国家として統一して執行しているのは日本だけなのである。


死刑制度の問題点に関する記述に紙幅を割いてしまったが、国家による殺人である死刑制度は、もはや完全に時代遅れの遺物なのである.


7名もの大量殺人の執行前夜に執行を命令した上川法相と安倍首相が宴に参加して祝杯をあげていたという図式は身の毛のよだつものだ。


そして、この日の午後2時には気象庁が緊急記者会見を東京と大阪で開いて豪雨災害についての最大の警告を発していた。


もはや、存続を許すべきではない政治権力が、いまなお居座っている。


この「敵」に打ち克つ法を私たち主権者国民が備え、実践しなければならない。

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