与党の横暴と暴走が放置される日本の病理
国会が19日ぶりに正常化した。
野党は柳瀬唯夫氏の証人喚問、ならびに麻生太郎財務相の辞任を求めたが、与党はこれらの要求を拒絶してきた。
そして、野党が欠席するなかで与党は審議を強行してきた。
柳瀬唯夫氏は2015年4月2日に、首相官邸で加計学園関係者や今治市の職員と面会していたにもかかわらず、国会参考人招致で「記憶による限り面会していない」と強弁を続けてきた。
しかし、面会の事実を示す文書が相次いで発覚し、発言を修正せざるを得ない状況に追い込まれた。
野党が、嘘をつけば刑事罰を科せられる可能性のある証人喚問での柳瀬氏招致を求めたのは当然のことである。
麻生財務相は公文書改ざんについて、「事実であれば由々しきことだ」と明言してきた。
その公文書改ざんの事実が明らかになった。
財務省の最高責任者として責任を明らかにするべきことは当然だ。
財務省前事務次官のセクハラ疑惑が表面化した際、麻生財務相は事実確認もせずに福田次官の責任を問わぬ対応で幕引きを図った。
その後に音声データという動かぬ証拠の存在が明らかになり、福田次官は更迭された。
さらに、財務省はセクハラの事実を認定して福田氏に対する懲戒処分を決めた。
それにもかかわらず、麻生太郎氏はセクハラ行為の事実認定を覆す発言を繰り返している。
さらに、被害者を攻撃する発言まで繰り返してきた。
野党が麻生太郎財務相の辞任を求めるのも当然のことである。
ところが、安倍政権与党は国会における多数議席占拠という「数の論理」を盾に、少数意見を踏みにじってきた。
本来、このような局面で威力を発揮するのがメディアであるが、現在のメディアは「社会の木鐸」ではなく「権力の御用機関」と化してしまっているため、正当な対応を与党が強制される状況が生み出されなかった。
野党はいつまでも審議拒否を続けることもできないから、不本意ながら審議に応じる対応を示したわけだが、この現状だけを捉えて、野党の対応の失敗と評価するのは間違っている。
与党の横暴、与党の暴走が放置される日本の現況が重大な病理に陥っていると判断するのが正しい。
メディアが正論を前面に押し立てて、与党の横暴、与党の不正を執拗に問いただすなら、与党は最終的に野党の正当な要求を受け入れざるを得なくなる。
これが正しい姿だが、メディアが率先して重要争点を隠蔽する対応を示したのだ。
NHKと警察・検察はゴールデンウィークにタイミングを合わせてジャニーズ事務所所属タレントの不祥事を表面化させ、一種の電波ジャックを図った。
典型的なスピン報道である。
NHKは日曜討論での政党討論を意図的に企画せず、放送しなかった。
政治権力がメディアと刑事司法を支配して、民主主義を機能不全に陥らせている。
挙句の果てに、「審議拒否で成果得られず」の情報を流布している主体もマスメディア自身なのである。
国会議席の多数を占拠した勢力が、マスメディアと刑事司法を私物化して民主主義を機能不全に陥らせている。
この状況下では正論が正論として取り扱われなくなるのは当然のことである。
この惨状をいかにして打破するのか。
これが日本の主権者国民に投げかけられている課題である。
最大の戦術は、国会議席多数を奪還することだ。
メディアの不当支配も刑事司法の不当支配も、その是正には、国会における多数議席の確保が鍵を握る。
安倍政権は自民党単独では17%、自公を合わせても25%の得票率(全有権者に占める得票率)で国会議席の7割を占拠している。
主権者国民の多数支持によって樹立されている政権ではないのだ。
主権者全体の25%の得票を実現できれば政権を奪還できる。
完全に「手の届く範囲内」に目標がある。
このことを認識して、これを実現できる方策を確立する必要がある。
選挙に勝利して主権者の政権を樹立する。
これが真っ暗闇の日本から決別する最短の方策である。
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