安倍政治暴走下の茂木経財相不信任案は至極当然
日本の議会制民主主義が崩壊の危機に瀕している。
議会は多数決原理を根幹に置いているから、議論の末に最終的に結論を出す段階で採決によって決定することは是認される。
しかし、議会が議会として機能するためには、討論と説得というプロセスが不可欠である。
多数勢力であっても必ず少数勢力の主張、意見に耳を傾けなければならない。
同時に少数勢力は、独自の主張を展開するとともに、多数勢力の不正、不正義、不祥事を議会活動を通じて厳しく糾弾することを求められている。
多数勢力であれば何をしてもよいということではもちろんなく、公器である政治を司る存在として、公平、公正、透明な行動が求められる。
議会が議会として機能するために何よりも重要なことは、議会の多数勢力が政権を担う緊張感を持ち、公平、公正、透明な行動を貫くことである。
このことがあって初めて議会政治は健全に機能するのだ。
ところが、安倍内閣はこの規範を完全に逸脱している。
森友、加計両学園事案は、安倍首相が疑惑の中心に位置する巨大政治スキャンダルである。
安倍昭恵氏が深く関与して国有地が不正に払い下げられたことがほぼ明白になっている。
加計学園の獣医学部新設認可が、適正な行政プロセスを逸脱して決定されたことも明白になっている。
このこと自体で安倍内閣は総辞職を余儀なく迫られるべきあると言えるが、内閣総辞職せず居座っている。
麻生太郎財務相のセクハラ否定、セクハラ擁護、被害者攻撃の言動は麻生氏が単に財務相の職責を担うに値しないだけでなく、国会議員として必要な資質をも欠いていることを鮮明に浮かび上がらせた。
その麻生太郎氏が財務相の地位に居座っている。
与党が適正な対応を示さないことに対して、野党が審議拒否で対応したのは、やむに已まれぬ判断であったと言える。
ところが、安倍政権与党は、あろうことか、野党が審議に応じないなかで、与党単独で審議を強行。
議会政治を完全に形骸化させる暴挙に打って出た。
野党が正当な事由なしに審議拒否に進んだのであれば野党が批判されるべきであるが、与党が言語道断の横暴を貫くなかでの審議拒否であるから、与党は野党の主張に真摯に向き合うべきであった。
ところが、安倍政権与党は「数の力」だけを頼りに横暴極まりない対応を続けている。
これでは議会はあってなきがごとしである。
議会政治は完全に機能不全に陥り、議会政治の崩壊が生じている。
TPPについて、安倍首相は米国を含むTPPでなければ意味がないと強弁し続けた。
トランプが大統領に就任すれば米国がTPPから離脱する可能性が高いと指摘されていた。
米国を含むTPP批准を急ぐ必要はないと指摘されていたのである。
ところが、安倍首相は米国抜きのTPPは考えないとし、米国を含むTPP最終合意を確定するためにTPP承認を急ぐべきだと主張した。
その結果として、2016年末にTPP法案承認が国会で強行された。
安倍首相は批准を強行するなかで、批准した合意文書を修正することは絶対にないと言い張ったのである。
ところが、トランプ大統領は予想通りTPPから離脱した。
したがって、TPPの発効はなくなったのである。
すると、驚くなかれ、安倍首相は国会での答弁を覆して、TPP合意文書の見直しに突き進んだ。
そして、日本が主導して米国抜きのTPP11の合意が作られたのである。
日本以外の交渉参加国が自国の利益を守るために合意文書の修正を強く求めるなかで、日本だけは国益を放棄するかたちでTPP11の合意形成を優先した。
国会での答弁などは何の意味もないという行動を安倍内閣が示している。
これでは、議会での審議など何の意味も持たないことになる。
野党が茂木敏充経済再生担当相に対する不信任決議案を提出したことは当然の対応であると評価できる。
安倍政権与党が「数の力」だけを頼りに、傍若無人の暴走を続けるなら、安倍政治に対峙する勢力は、あらゆる手段を講じて抵抗を示すしかない。
議会制民主主義が破壊されようとしているのだから、現行制度で許されるすべての抵抗策を駆使して与党の暴走に抗することは、完全に正当であると言える。
安倍政権は御用メディアを活用して野党攻撃を続けるだろうが、管理されたメディアの流布する情報を鵜呑みにしてはならない。
日本の主権者国民が抵抗=レジスタンスの前線に立ち、抵抗する野党勢力を全面支援しなければならない。
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