権力犯罪放置国家日本の悲惨すぎる現状
財務省元理財局長の佐川宣寿氏らによる決裁公文書改ざん事案について、大阪地検特捜部が起訴しない方針を固めたと伝えられている。
法律の解釈と運用については警察や検察の裁量に委ねられている。
起訴便宜主義ともいう。
実態は警察と検察に強大過ぎる裁量権が付与されている。
その裁量権とは、
犯罪が存在しているのに、犯罪者を無罪放免にする裁量権と
犯罪が存在していないのに、無実の人間を犯罪者に仕立て上げる裁量権である。
そして、重要なことは、日本の裁判所が、ほとんどの場合、検察の決定をそのまま容認していることである。
とりわけ重要なことは、これらの不正刑事司法が政治権力の横暴によって引き起こされていることだ。
戦後の日本の刑事司法を支配してきたのは米国である。
日本を支配してきた米国が、日本の警察、検察、裁判所を支配してきた。
象徴的な事例が砂川事件である。
砂川事件で東京地裁の伊達秋雄裁判長は、1959年3月30日、日本政府がアメリカ軍の駐留を許容したのは違憲であるとして被告全員を無罪とした。
これに対して、検察は地裁判断の是非を直接最高裁に問う「跳躍上告」を実施。
最高裁は同じ年の12月16日に、
1.日本国憲法は自衛権を否定していない、
2.外国の軍隊は憲法が定める戦力に該当しない、
3.日米安保条約のように高度な政治性をもつ条約については、一見してきわめて明白に違憲無効と認められない限り、その内容について違憲かどうかの法的判断を下すことはできない(統治行為論採用)
として原判決を破棄し地裁に差し戻した。
背景には、1960年に日米安保条約の改定が控えているという事情があった。
東京地裁による「米軍駐留は憲法違反」との判断を受けて当時の駐日大使ダグラス・マッカーサー2世が、同判決の破棄を狙って当時の藤山愛一郎外務大臣に最高裁への跳躍上告を促す外交圧力をかけるとともに、田中耕太郎最高裁長官と密談していた事実が、のちに明らかにされた。
日本の刑事司法は米国によって支配され、司法判断が誘導されていた事実が明らかにされたのである。
米国は日本政治を支配し、日本の刑事司法を支配し続けてきている。
対米隷属の政権下においては、露骨に政治権力=行政権力が司法に介入して刑事司法を歪めている。
対米隷属ではない政権が誕生した局面でも、その政権が刑事司法の歪みを直ちに是正しないことを拠りどころにして、刑事司法への介入を強化して、対米隷属でない政治権力を破壊することに総力を挙げることが繰り返されてきた。
2009年に誕生した鳩山由紀夫政権は、日本支配を継続しようとする米国にとって最大の脅威になった。
そのために、鳩山政権誕生を牽引した小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏に対する不正で不当な総攻撃が実行されたのである。
小沢一郎氏を攻撃するための二つの刑事事件であった「西松事件」と「陸山会事件」の異様性がこの事実を端的に物語っている。
「西松事件」とは、西松建設関連の「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」という二つの政治団体からの政治献金を多くの政治家の資金管理団体が、同名称の政治団体から寄附があったとして報告した政治資金収支報告書記載事項について、小沢一郎氏の政治資金管理団体の報告のみを「政治資金規正法違反」だとして立件、起訴したものである。
10名以上の政治家の資金管理団体が、まったく同一の収支報告を行ったなかで、小沢一郎氏の資金管理団体だけが違法行為を行ったとして犯罪と認定された事件である。
2010年1月15日に開かれた第2回公判で、西松建設元取締役が、二つの政治団体には固有の事務所もあり、常駐職員も存在し、実体があったと証言した。
このことにより、小沢氏事務所の収支報告の合法性が完全に立証された。
検察は控訴を取り下げなければならなかったが、その2日後に、新たに「陸山会事件」を立件する暴挙に打って出たのである。
「陸山会事件」とは、小沢一郎氏の資金管理団体による世田谷区所在の土地取得に関して、同資金管理団体が2004年10月に代金を決済し、翌2005年1月に所有権の移転登記を完了したことについて、同資金管理団体が2005年の収支報告書に記載して提出したことを、検察が「虚偽記載」だとして刑事事件として立件、起訴した事案である。
この事件の公判で、商法専門学者が土地取引の経緯を踏まえると、2005年の収支報告書に記載して報告した行為が適正であるとの専門家意見を述べた。
およそ、犯罪として立件できるような事案ではなかったのである。
しかし、日本のメディアが連日連夜、小沢一郎氏がまるで重大犯罪に手を染めたかのような報道を展開し続けた。
日本の市民で、「西松事件」と「陸山会事件」の実態を知る者はほとんどいない。
重大犯罪が存在したかのような「洗脳」が行われてきたのである。
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