中古品購入がマイナス成長原因と報道の日本偏向協会
本日、5月16日、本年1-3月期のGDP統計が発表された。
実質GDP成長率は年率換算で-0.6%になった。
GDP成長率がマイナスを記録するのは2015年10-12月期以来、9四半期ぶりのことである。
安倍政権はGDP成長率が8四半期連続でプラス成長を記録したことなどを日本経済の好調さを示す証拠だとして誇示してきた。
「アベノミクスが成功している」などと言いふらしてきた。
しかし、経済のパフォーマンス評価は客観的でなければならない。
プラス成長が続いたとしても、地を這うような低成長であれば、賞賛するべきものとは言えない。
また、より重要なことは生産の果実がどのように「分配」されるのかである。
国民にとって重要なことは、労働者の所得が増加するのかどうかである。
普通に働く、普通の人々の所得が増えているのかどうか。
普通の人々の暮らしがどう変化しているのかが重要なのである。
四半期ごとに発表される実質GDP成長率を年率換算した数値を単純平均したものを調べてみると、
民主党政権時代の成長率単純平均値は+1.8%であるのに対して、
第2次安倍政権発足後の成長率単純平均値は+1.3%である。
民主党政権時代には311の大地震、原発事故という大惨事があった。
この災害と事故により、日本経済は大きく下方に屈折した。
民主党政権時代は、非常に暗い経済状況に包まれていた。
その、暗かった民主党政権時代の経済成長率よりも、第2次安倍政権発足後のGDP成長率がはるかに低いのである。
「直近8四半期連続でプラス成長が実現した」と安倍首相は自画自賛するけれども、その平均値は+1.65%で、民主党政権時代の成長率を下回っている。
2015年度以降の各年度の実質GDP成長率は1.4%、1.2%、1.5%で極めて低い成長率が続いている。
そして、本年に入って成長率は、ついにマイナスに転落したのである。
「アベノミクスが成功している」という事実はまったく確認されていない。
労働者にとって、何よりも重要な経済指標は、実質賃金の動きである。
厚生労働省が発表している賃金統計では、本給、時間外労働賃金、ボーナスのすべてが示されており、これらをすべて合計したものが「現金給与総額」と呼ばれる数値である。
生活者にとって重要なのは、インフレ率を差し引いた実質賃金の推移である。
現金給与総額の実質推移を知るには、実質賃金指数という統計を見るのがもっとも適切である。
この統計を見ると、第2次安倍内閣が発足して以降に、実質賃金指数が約5%も減少したことが分かる。
労働者の賃金は増えたのではなく、5%も減少したのである。
あの暗かった民主党政権時代はどうだったのかというと、実質賃金指数は、ほぼ横ばい推移を示した。
増えはしなかったが減ることもなかった。
ところが、第2次安倍内閣が発足して以降に、実質賃金指数は約5%も減少したのである。
「アベノミクスは成功している」どころか「アベノミクスは大失敗」というのが真実である。
「知られざる真実」と言ってよいだろう。
第2次安倍内閣が発足したのは2012年12月のこと。あれから5年半もの時間が過ぎ去った。
2017年まで実質賃金は減り続けてきたが、そのなかで、例外的に実質賃金が増えた年が1年だけある。2016年のことだ。
なぜ2016年だけ、実質賃金が小幅増加したのかと言うと、この年の日本の物価が下落したからだ。
「アベノミクス」は「インフレ誘導」を目標に掲げていた。
しかし、これも失敗して、2016年に日本経済は「デフレ」に回帰した。
労働者の名目賃金はほとんど増えていない。そのなかで、物価が下落したことで2016年に限って、実質賃金がほんのわずかに増えたのだ。
しかし、2017年はまた実質賃金が減ってしまった。
驚くべきことは、この経済成長率マイナスのニュースがほとんど報道されていないことだ。ネットのポータルサイトにもニュース記事が掲載されていない。
NHKはGDP統計を報道したが、個人が中古品の購入を増やしていることが、GDP成長率がマイナスに転じた理由であるかのような報道をした。
NHKの御用放送ぶりは目に余るものがある。
成長率がマイナスに転じたことはトップニュースで報じるべき問題である。
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