日本の大臣のレベルってのはこんなもんなんだな
麻生太郎財務相が3月29日の参議院財務金融委員会で、米国を除く11ヵ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の新協定(TPP11=CPTPP)に関する新聞報道が少ないとして、
「日本の新聞には一行も載っていなかった」
「まあ、日本の新聞のレベルってのはこんなもんなんだなと思って、経済部のやつにぼろかすに言った記憶ありますけど。みんな、森友(学園)の方がTPP11より重大だと考えているのが日本の新聞のレベル。政治部ならともかく経済部までこれかと、おちょくりにおちょくり倒した記憶がありますけど。これはものすごく私は大きかった条約締結の一つだったと思う。」
と発言して、訂正に追い込まれた。
森友問題とは、
財務省が時価10億円相当の国有地を実質200万円で森友学園に払い下げた事案
であり、
森友学園に関する決裁済公文書が大規模に改ざんされ、
その改ざん後公文書が国会に提出されて、1年以上にわたり、国会の業務が妨害された事案
である。
国有地を適正な対価なくして譲渡することは財政法第9条で禁止されており、このような不正廉売は国に損失を与える行為であり、刑法の「背任罪」に該当する惧れが高い。
公文書を、公文書を作成する権限のある者が改ざんして、虚偽の公文書を作成することは、刑法の「虚偽公文書作成罪」に該当する惧れが高い。
国会に虚偽の公文書を提示して国会業務を妨害したことは、刑法の「偽計業務妨害罪」に該当する惧れが高い。
これらの重大犯罪の嫌疑が財務省にかけられている。
財務大臣は財務省のトップであり、麻生太郎氏自身が検察の取り調べを受ける立場にあるといえる。
その麻生氏が「森友の方がTPP11より重大だと考えているのが日本の新聞のレベル」と発言したのだから開いた口が塞がらない。
重大犯罪を実行したグループの長が、新聞がこの重大犯罪報道を全面的に展開して、この長が関心を持っている出来事の報道をあまり積極的に行わなかったことに当たり散らしているようなものだ。
国民は「安倍政権の主要閣僚ってのはこんなもんなんだなと思って、ぼろかすに言った」うえで、直ちに麻生財務相を罷免するように大きな声を挙げる必要がある。
字を読めないだけでなく、自分が置かれた状況、自分がすべきことも何も分からない。良識、見識が皆無の人物が財務大臣のようなポストにいることは、日本国民として耐え難い恥だと、圧倒的多数の主権者国民が判断している。
たしかにTPP11は極めて重要である。
しかし、TPP11が重要で森友が重要でないというのは大間違いだ。
既述したように、森友事案は内閣が瞬時に吹き飛ぶような威力を有する超重大事案である。
安倍政権はメディアに対して、「森友事案は重大でない」情報の流布を指令しているのだろう。
早速産経などが、「支持率回復」などの提灯記事を掲載し始めた。
しかし、いくら提灯記事を大量流通させたところで、問題の重大性が消えるわけではない。
問題は残存し、安倍昭恵氏が国会で証人喚問に応じるまで、野党と主権者国民の追及は延々と続く。
安倍首相はさぞかし残念がるだろうが、この問題は退潮しない。
麻生太郎氏が、TPP11は重要であるとしたこと自体は正しいが、麻生氏の認識の方向は完全な錯誤である。
そもそも2012年に自民党はどんな公約を掲げて衆院総選挙を戦ったのか。
「日本にとって重要な5品目は守る」
「数値目標は設定しない」
「国の主権を損なうようなISD条項には合意しない」
ことを主権者に確約した。
ところが、TPP12の交渉では、日本サイドが全面的、一方的な譲歩を繰り返した。
そして、ISD条項について、何の説明もせずに、日本政府がこれを全面推進する姿勢を示したのだ。
日米交渉では、日本がTPP交渉に参加することを米国が認めてくれるように、日本が「自主的に」米国から自動車を大量に輸入する数値目標を設定し、関税交渉での「不平等対応」を日本が「自主的に」宣言したのである。
この日本の一方的譲歩は「TPP交渉参加への入場料」と呼ばれた。
2016年末は、米国でトランプ大統領が選出されたため、米国がTPPから離脱する可能性が高まった局面だ。
この局面で安倍政権は、TPPの内容の見直しが行われないようにするため、日本がまず批准するのだと言い張って、TPP12承認を強行した。
ところが、米国はやはりTPPから離脱した。
したがって、この時点でTPPの発効可能性は消滅したはずだった。
ところが、安倍政権は国会答弁を覆して、TPP12を見直しして、TPP11で発効させると言い出し、TPP11での参加国合意を取り付けた。
その手法は、再び日本の全面譲歩だった。
米国を含む輸入枠の規模を、米国が抜けたにもかかわらず、そのままにして合意成立に突き進んだ。
今後、米国は日本に対して二か国協定でTPP以上のものを求めてくる。
TPP11プラス日米再交渉で、日本の国益は完全に崩壊し尽くされることになる。
この重大事実をメディアが報じるべきなのだが、麻生氏が思い描いている、あるべきメディア報道とは、TPP11を賛美する報道ということなのだろう。
お花畑としか言いようがない。
このような大臣が居座り続けることが日本の国難である。
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
のご購読もよろしくお願いいたします。
上記メルマガを初めてご購読される場合、
2ヶ月以上継続して購読されますと、最初の一ヶ月分が無料になりますので、ぜひこの機会にメルマガのご購読もご検討賜りますようお願い申し上げます。
http://foomii.com/files/information/readfree.html
続きは本日の
メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
第2007号「安倍麻生でんでんみぞうゆう政権存続が日本の国難」
でご購読下さい。
『アベノリスク』(講談社)
の動画配信はこちら
著書と合わせてせて是非ご高覧下さい。
2011年10月1日よりメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(月額:540円(税込)/配信サイト:フーミー)の配信を開始しました。
創刊月2011年10-2012年6月は、このようなテーマで書いています。ご登録・ご高読を心よりお願い申し上げます。詳しくはこちらをご参照ください。
メールマガジンの購読お申し込みは、こちらからお願いします。(購読決済にはクレジットカードもしくは銀行振込をご利用いただけます。)なお、購読お申し込みや課金に関するお問い合わせは、info@foomii.com までお願い申し上げます。
あなたの資産が倍になる 金融動乱に打ち勝つ「常勝投資術」~(TRI REPORT CY2018)
価格:1,620円 通常配送無料 |
「国富」喪失 (詩想社新書)
価格:994円 通常配送無料 |
反グローバリズム旋風で世界はこうなる~日経平均2万3000円、NYダウ2万ドル時代へ! ~(TRI REPORT CY2017)
価格:1,620円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
泥沼ニッポンの再生
価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本経済復活の条件 -金融大動乱時代を勝ち抜く極意- (TRI REPORT CY2016)
価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
米国が隠す日本の真実~戦後日本の知られざる暗部を明かす
価格:1,728円 通常配送無料 出版社:星雲社 |
安保法制の落とし穴
価格:1,512円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の奈落 (TRI REPORT CY2015)
価格:1,728円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
日本の真実 安倍政権に危うさを感じる人のための十一章
価格:1,620円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
日本経済撃墜 -恐怖の政策逆噴射- 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:ビジネス社 |
20人の識者がみた「小沢事件」の真実―捜査権力とメディアの共犯関係を問う! 価格:1,680円 通常配送無料 出版社:日本文芸社 |
オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下 価格:2,100円 通常配送無料 出版社:早川書房 |
アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪 価格:1,575円 通常配送無料 出版社:講談社 |
鳩山由紀夫 孫崎享 植草一秀 「対米従属」という宿痾(しゅくあ) 価格:1,470円 通常配送無料 出版社:飛鳥新社 |
金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み解く 価格:1,785円 通常配送無料 |
消費税増税 「乱」は終わらない 価格:1,470円 通常配送無料 |
国家は「有罪(えんざい)」をこうして創る 価格:1,470円 通常配送無料 |
消費増税亡国論 三つの政治ペテンを糺す! 価格:1,000円 通常配送無料 |
日本の再生―機能不全に陥った対米隷属経済からの脱却 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の独立 価格:1,800円 通常配送無料 |
売国者たちの末路 価格:1,680円 通常配送無料 |
知られざる真実―勾留地にて― 価格:1,890円 通常配送無料 |
消費税のカラクリ 価格:756円 通常配送無料 出版社:講談社 |
戦後史の正体 価格:1,575円 通常配送無料 |
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 価格:798円 通常配送無料 |
日米同盟の正体~迷走する安全保障 価格:798円 通常配送無料 |
検察崩壊 失われた正義 価格:1,365円 通常配送無料 |
検察の罠 価格:1,575円 通常配送無料 |
「主権者」は誰か――原発事故から考える 価格:525円 通常配送無料 |
原発のカラクリ―原子力で儲けるウラン・マフィアの正体 価格:1,680円 通常配送無料 |
« 憲法改悪もたらす巨大広告費のメディア支配 | トップページ | 昭恵さんは証人喚問受諾意思をSNSで発信しよう »
「山かけもりそば疑惑」カテゴリの記事
- 巨悪無罪放免小悪籠池実刑森友事件(2023.01.13)
- 安倍氏は国民が見える場で説明せよ(2020.12.20)
- 虚偽公文書作成無罪放免検察を刑事告発すべきだ(2020.04.02)
- 公文書改ざん2/17安倍国会答弁忖度説の誤り(2020.03.21)
- 安倍・検察・財務省癒着の超巨大犯罪握り潰し(2020.03.18)