昭恵氏証人喚問は安倍答弁が招いた論理的必然
今週は極めて重要な週になる。
公文書改ざん問題の中心人物の一人と見られる佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が3月27日に実施される。
しかし、公文書改ざん問題は、森友事案の核心から派生して発生した付随的な問題であり、問題の核心そのものではない。
問題の核心は、時価10億円程度と見られる国有地が実質200万円の安値で払い下げられたことである。
国有地が適正な対価なくして譲渡されることを財政法第9条が禁じている。
国に損害を与える行為は刑法の「背任罪」に該当する犯罪行為である。
財務省および近畿財務局が財政法違反の国有地激安払い下げを行った理由が問題の核心である。
その主因は、首相夫人である安倍昭恵氏の関与にあると思われる。
安倍昭恵氏が関与して森友学園と近畿財務局および財務省理財局の交渉が行われた。
近畿財務局および財務省理財局は安倍首相事案として「特例的な取り扱い」を行ったのだと推察される。
このことに関して、安倍首相は昨年2月17日の衆院予算委員会で、
「私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」
「いずれにいたしましても、繰り返して申し上げますが、私も妻も一切、この認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして、(中略)繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」
と明言した。
この安倍首相発言によって、森友学園への国有地払い下げ事案に、安倍昭恵氏がかかわっていたことが明らかになると、安倍晋三氏が首相と議員を辞職しなければならないことになった。
公文書改ざんは、この事情を背景に実行されたものである可能性が極めて高い。
佐川宣寿氏が決裁公文書の改ざんを指揮、命令したのは、2月17日の安倍首相による国会答弁と公文書の整合性を保つためであった可能性が高い。
この場合、決裁公文書改ざんは、首相官邸の今井尚哉秘書官と財務省の佐川宣寿理財局長の合意によって実行された可能性が高いと考えられる。
そもそも、財務省が「無理筋」の国有地激安払い下げに応じる必然性はない。
買い手側が無理な要求をしてきたら、これを拒絶すればよいだけのことだ。
ところが、買い手側の森友学園の背後に安倍首相夫妻が存在し、小学校建設を推進しているということになれば事情が一変する。
現に、公開された、改ざんされる前の公文書では、安倍首相ならびに安倍昭恵氏の関与を財務省側が認知し、その結果として、財務省側が対応を激変させたことが浮かび上がっている。
そして、事態が急変したのが2015年9月以降である。
安倍昭恵氏が新設小学校の名誉校長に就任し、籠池泰典氏が学校用地の問題を名誉校長の安倍昭恵氏に相談した。
安倍昭恵氏は経産省から出向している秘書の谷査恵子氏に指示して、財務省との折衝を行わせた。
谷氏の照会に対応したのは財務省理財局国有財産審理室長の田村嘉啓氏である。
ノンキャリの職員からの照会で、財務省理財局国有財産審理室長が対応することは、普通はあり得ず、谷氏の上司にあたる今井尚哉秘書官が財務省に対応を働きかけたのだと推察される。
その後、財務省は異例の便宜供与、利益供与に走る。
その結果として国有地の激安払い下げおよび、決裁代金の10年分割払いという、あり得ない「特例処理」が実行された。
公文書には、籠池泰典氏による「安倍昭恵夫人が「いい土地ですから前に進めてください」と話された」とのエピソードが記載された。
財務省および近畿財務局が、当該国有地払い下げ案件を「安倍首相夫妻案件」として「特例処理した」ことが公文書から読み取れる。
実際に、安倍昭恵氏が森友学園の学校用地問題に関与していたとするなら、安倍首相は2017年2月17日の国会答弁を踏まえて、首相と議員を辞職しなければならなくなるだろう。
この意味で、安倍昭恵氏が森友学園の学校用地問題に関与したのかどうかは、決定的に重要な事項になっている。
籠池泰典氏は、野党議員との接見においても、安倍昭恵夫人がそのように発言したことを改めて証言した模様である。
安倍首相の進退問題に直結する、この重要事実を確認することが必要不可欠になっており、そのためには、どうしても安倍昭恵氏の国会証人喚問が避けられない。
証人喚問でないと、嘘をついても処罰されないから、嘘をつけない環境で証言してもらうには、証人喚問が適切である。
現に、籠池泰典氏に対しては、「嘘をつけない環境で証言してもらう」との観点から、証人喚問が行われたのであるから、安倍昭恵氏にも同じ条件で証言してもらうことが必要である。
佐川宣寿氏の証人喚問を受けて、国会は速やかに安倍昭恵氏の証人喚問を実施するべきである。
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