森友公文書問題本質は安倍首相夫妻の関わり
3月2日の朝日新聞報道は次のものだ。
「学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引の際に財務省が作成した決裁文書について、契約当時の文書の内容と、昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示した文書の内容に違いがあることがわかった。学園側との交渉についての記載や、「特例」などの文言が複数箇所でなくなったり、変わったりしている。複数の関係者によると、問題発覚後に書き換えられた疑いがあるという。
内容が変わっているのは、2015~16年に学園と土地取引した際、同省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作った文書。1枚目に決裁の完了日や局幹部の決裁印が押され、2枚目以降に交渉経緯や取引の内容などが記されている。
朝日新聞は文書を確認。契約当時の文書と、国会議員らに開示した文書は起案日、決裁完了日、番号が同じで、ともに決裁印が押されている。契約当時の文書には学園とどのようなやり取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や、学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしている。」
(朝日デジタル3月2日配信記事「森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える」)
朝日のスクープ記事がさく裂したのが3月2日である。
3月2日は参議院予算委員会が開かれたが、この日の安倍首相の動静が伝えられている。
【午後】0時54分、官邸発。56分、国会着。57分、参院第1委員会室入る。58分から59分、麻生氏、小野寺氏、茂木敏充経済再生担当相。1時、参院予算委再開。5時42分、参院予算委散会。43分、同室出る。45分、国会発。47分、官邸着。55分から6時6分、北村滋内閣情報官。8分から19分、梶山弘志自民党茨城県連会長らから要望書受け取り。40分から52分、鶴岡公二駐英大使ら欧州大使会議出席者。53分、官邸発。57分、東京・虎ノ門のホテルオークラ着。宴会場「アスコットホール」で「プライムニュースの集い」に出席し、あいさつ。7時4分、同所発。15分、東京・有楽町のフランス料理店「アピシウス」着。北村氏、林肇駐ベルギー大使、田中一穂日本政策金融公庫総裁らと会食。10時32分、同所発。50分、東京・富ケ谷の私邸着。
注目されるのは参院予算委員会終了後、午後5時55分から6時6分まで北村滋内閣情報官と面会し、その後、午後7時15分から10時32分まで、再び北村滋氏と会食していることだ。
会食場所は有楽町のフランス料理店「アピシウス」。
田中一穂日本政策金融公庫総裁も同席している。
田中一穂氏は2006年の第1次安倍内閣で内閣総理大臣秘書官に就任し、2015年7月から2016年6月まで財務事務次官を務めている。
安倍首相が戦争法制の審議で揺れる国会から「逃亡」して大阪に日帰り出張したのが2015年9月4日のことだ。
読売テレビで生放送される「情報ライブ ミヤネ屋」に出演したあと、9月6日放送予定の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」の収録に出演した。
その後、16時7分に、故冬柴鉄三元国土交通相の次男である冬柴大氏が経営する大阪市北区の海鮮料理店「かき鉄」で今井尚哉秘書官、冬柴大氏らと会食をしている。
冬柴大氏はりそな銀行高槻支店次長を務めたのち、冬柴パートナーズ株式会社を設立し、助成金申請援助などの事業を営んでいる。
この9月4日、国土交通省「平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)の採択プロジェクトの決定について」において、森友学園の瑞穂の國記念小學院の校舎及び体育館が選出され、6200万円の補助金交付が決定されている。
また、、森友学園はりそな銀行と業務提携を行っていた。
そして、同じ2015年9月4日に、森友学園の建設を請け負ったキアラ設計所長、中道組所長と近畿財務局の池田統括管理官・大阪航空局の高見調整係が近畿財務局の会議室で会合を持っている。
安倍首相は大阪出張の前日の9月3日に、迫田英典理財局長と面会している。
そして、安倍昭恵氏が塚本幼稚園で講演し、瑞穂の國記念小學院名誉校長に就任したのが翌日の9月5日なのである。
いま問題になっている、近畿財務局が学園に国有地の売却予定価格を通知した際の「2016年5月31日付文書」と、近畿財務局が学園に国有地を1億3400万円で売却する方針を国交省大阪航空局に通知した「16年6月16日付文書」は、いずれも田中一穂氏が財務省の事務次官を務めていた時期の文書である。
田中一穂氏は一連の事案における事務方の最高責任者であったのだ。
3月2日に決裁文書=有印公文書の書き換え=変造、あるいは偽造の疑惑を朝日新聞がスクープした。
報道内容が事実であれば、間違いなく政権を吹き飛ばす威力のあるスクープ報道である。
この日以降、日本の政局は公文書変造疑惑を中心に急転回している。
このなかで一部報道が伝え続けたのが、安倍政権の動静であり、その中心に「犯人捜し」が挙げられていた。
「犯人捜し」と言っても、変造・偽造=書き換えの犯人探しではなく、朝日新聞に情報を提供した者を突き止める「犯人捜し」である。
内閣情報官の北村滋氏について日刊ゲンダイ紙は次のように伝えている。
「北村情報官は、加計学園問題を告発した前川喜平前文科次官の「出会い系バー」通い調査を行い、“レイプもみ消し”疑惑が報じられた山口敬之元TBS記者が泣きついた相手と報じられている。安倍首相の“懐刀”で「官邸のアイヒマン」の異名を取るスゴ腕だ。」
朝日のスクープ砲さく裂のその日に、安倍首相は北村滋氏と3時間28分も面会しているのである。
内閣調査室は官邸の諜報機関と呼ばれる組織であり、内閣情報官はそのトップポストである。
内閣情報官には警察官僚のなかの公安担当者、外事警察官僚が就任しており、事実上の日本の諜報機関トップであると言ってよい。
北村滋氏は2006年の第1次安倍政権で首相秘書官を務めている。
財務省の田中一穂氏とは第1次安倍政権での首相秘書官つながりなのである。
話題の中心に朝日新聞への情報提供者の「犯人捜し」が置かれたことは間違いないだろう。
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