「森友決裁文書は同一」を断言できるかだけを問え
朝日新聞は次のように報じた。
「学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引の際に財務省が作成した決裁文書について、契約当時の文書の内容と、昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示した文書の内容に違いがあることがわかった。学園側との交渉についての記載や、「特例」などの文言が複数箇所でなくなったり、変わったりしている。複数の関係者によると、問題発覚後に書き換えられた疑いがあるという。
内容が変わっているのは、2015~16年に学園と土地取引した際、同省近畿財務局の管財部門が局内の決裁を受けるために作った文書。1枚目に決裁の完了日や局幹部の決裁印が押され、2枚目以降に交渉経緯や取引の内容などが記されている。
朝日新聞は文書を確認。契約当時の文書と、国会議員らに開示した文書は起案日、決裁完了日、番号が同じで、ともに決裁印が押されている。契約当時の文書には学園とどのようなやり取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や、学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしている。」
(朝日デジタル3月2日配信記事「森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える」)
有印公文書を改竄、あるいは偽造して、これを国会議員に提示していたとするなら、有印公文書偽造という重大な犯罪になる。
財務省はこの決裁文書の原本を検察に提出しており、確認できないとしているが、あり得ないことである。
改竄や偽造の事実については、決裁文書の作成に関与した、決裁印を押した複数の当事者が存在するわけで、原本がなくても事実は確認できる。
原本と国会議員に提示した文書が同一のものであるかどうかは、確実に把握できるのである。
国会議員に提示した文書と原本が同一のものであれば、財務省は「報道は虚偽である」と明言するはずである。
しかし、財務省は原本と国会議員に提示した文書が同一であると言わない。
この行動を通常は「言えない」のだと捉える。
決裁文書の相違について、朝日新聞記事は「契約当時の文書には学園とどのようなやり取りをしてきたのかを時系列で書いた部分や、学園の要請にどう対応したかを記述した部分があるが、開示文書ではそれらが項目ごとなくなったり、一部消えたりしている」、「「特例」などの文言が複数箇所でなくなったり、変わったりしている」としている。
つまり、森友学園に便宜供与や利益供与をしたと受け取られる可能性のある部分が削除、あるいは改竄されているとの推測が生まれているわけだ。
財務省が決裁印を押している当事者にヒアリングすれば、事実関係は判明する。
その結果として、
「原本と同一物を国会議員に提示した」
「原本を改ざんしたものを国会議員に提示した」
「原本を作り変えて国会議員に提示した」
などの事実が判明する。
この作業を行うことは容易である。
森友学園との国有地取引について、大阪地検特捜部が背任容疑、公用文書等毀棄容疑、証拠隠滅容疑での刑事告発を受理している。
財務省はこの刑事告発に伴う「捜査」を理由に具体的な説明を避けているが、国会の要請で事実関係を問われ、仮に国会議員に提示した文書と原本が同一のものであるなら、「書き換え=改竄も偽造もない」と断言できる。
事実を事実通りに述べるのであるから、捜査に影響を来すことはない。
しかしながら、書き換え=改竄や偽造の事実がある場合には、これらについての罪状に影響を与える恐れが生じるだろう。
つまり、財務省が「捜査に影響を与える」ことを回避するために回答しないということ自体が、かなり明確な回答になっていると解釈することもできる。
野党は財務省に対して、次のように回答を求めるべきである。
それは、
「文書の書き換え=改竄、偽造を行った可能性はない」と明言できるかどうかを問うのである。
書き換え=改竄、偽造を行っていないことが明確であれば、この事実を明らかにすることは捜査に何らの影響を与えないと言える。
しかし、「書き換え=改竄や偽造を行った可能性はない」と明言はできないとなる場合には、その詳細について言及することが、今後の捜査にどのような影響を与えるかを予見することが困難であるとする財務省の説明に一定の合理性が生じるのである。
したがって、どのような改竄や偽造を行ったのかの詳細についての調査報告は求めず、まずは、ただ一点、「書き換え=改竄、偽造等を行った可能性はない」と断言できるかどうかのみを問うべきである。
この問いに対しては、財務省、財務相、そして安倍政権は回答を拒否できない。
これに回答しない場合には、野党はすべての国会審議を拒絶するべきである。
主権者はその行動を全面支持する。
野党は財務省に対して、国会議員に提示した文書と原本が同一であると断言できるかどうかだけを問い、政府がこれに答えるかどうかを確認し、十分な回答を得られなければ、すべての国会審議を拒絶するべきである。
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