「働かせ方改悪法案」を葬らねばならない理由
「働き方改革国会」などと表現されているが、安倍政権お得意の「印象操作」である。
「戦争法制」を「平和安全法制」と呼び変えた。
「共謀罪」を「テロ等準備罪」と呼び変えた。
「息を吐くようにウソをつく」安倍首相だから、言葉を言い換えて国民を騙すことなど朝飯前なのだろうが、主権者である国民は問題の本質を捉えて安倍政権の暴走を、もうこれ以上野放しにしてはならない。
「働き方改革」の実相は「働かせ方改悪」である。
したがって、今国会は「働かせ方改悪国会」と呼ばなければならない。
繰り返し使う言葉は重要だ。
言葉が言葉として力を持つ。言葉が持つ力。「言霊(ことだま)」という。
安倍政権が目論んでいることを正確に表現するなら、必ず「働かせ方改悪」と呼ばねばならない。
この言葉を繰り返すことによって、法案の本質が徐々に主権者国民の間にも広がってゆくからだ。
「アベノミクス」は「アベノリスク」である。
私は2013年7月の参院選前に、『アベノリスク』と題する著書を上梓した。
参院選で衆参両院の過半数議席を安倍政権与党が確保すると、史上空前の7つのリスクが広がることを警告した。
7つのリスクとは、インフレ誘導・消費税大増税・TPP・原発・シロアリ増殖・憲法改変・戦争、である。
このリスクが広がってきたのが、過去5年間の日本の現実だ。
アベノミクスは、財政出動、インフレ誘導、成長戦略の三つによって構成されているが、財政出動は消費税増税で自爆し、インフレ誘導は玉砕するとともに、その政策が完全な誤りであったことが現実によって実証された。
第2次安倍政権が発足してからの5年間で実質賃金が増加したのは2016年の1年限りだった。
2016年だけ、実質賃金がわずかに増加した。理由はインフレ誘導に失敗してインフレ率がマイナスに回帰したことだった。
インフレ誘導は実質賃金を減少させる政策であり、間違った政策方針なのである。
そして、アベノミクスの核心は成長戦略である。
成長戦略とは「大資本の利益を成長させる戦略」のことであって、主権者国民の利益、所得、幸福を成長させる戦略ではない。
成長戦略の柱は、農業自由化、医療自由化、労働規制撤廃、法人税減税、特区創設・民営化の五つであるが、すべての目的は、大資本の利益を極大化させることにある。
農業自由化は日本農業を農家の農業から外資が支配する農業に変えることが目的である。
医療自由化は医療費や薬価の高騰を容認して公的保険でカバーされない医療を拡大することに狙いがある。
法人税減税は日本企業を支配する外資の税負担を軽減することが目的である。
特区・民営化は独占利潤を生む公的事業を大資本に提供するとともに、インナーサークルに利益と便宜を供与するための施策である。
国境を超えて活動する巨大資本が世界市場を統一して、利潤を極大化させる行動を「グローバリズム」と呼ぶ。
グローバリズムは巨大資本の利益極大化のための基本戦略なのである。
安倍政権の経済政策は、そのすべてが巨大資本の利益極大化を目的としたものである。つまり、安倍政権は国際巨大資本の支配下にある政権なのである。
TPPがこのグローバリズムのひとつの集大成であることは言うまでもない。
そして、巨大資本がグローバルに利益を極大化させるうえで、最重要の施策になるのが「労働コストの最小化」である。
安倍政権が提示している労働法制改変は、まさにこの「労働コスト最小化」を目的としたものなのだ。
五つの達成目標がある。
非正規労働へのシフト加速、長時間残業の合法化、残業代ゼロ制度の拡張、外国人労働者の導入拡大、解雇の自由化、である。
すべての目的はただひとつ。
労働者を最低のコストで酷使して、使い捨てにすることができる制度を確立することである。
「残業時間に上限を設定して、罰則規定を設ける」ことが、あたかも労働者を守るための施策のように説明されているが、そう評価できるのは、上限が低く設定される場合に限られる。
月100時間の残業を認めることは、過労死に政府がお墨付きを与えるものであり、労働者の使い捨てを国家が公認する制度の確立に他ならない。
主権者国民が結束して、安倍政権の「働かせ方改悪法案」を粉砕しなければならない。
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