安倍外交の尊大な羞恥心と臆病な自尊心
1月30日夕刻、東京音羽の鳩山会館で第24回世界友愛フォーラムが開催された。
http://www.eaci.or.jp/joining/
本年の初頭を飾る世界友愛フォーラムでは東アジア共同体研究所理事長の鳩山友紀夫元内閣総理大臣が「脱大日本主義と日本の未来」の演題で詳細なレジュメに基づき1時間半にわたって熱弁を奮われた。
鳩山元総理は昨年『脱大日本主義』(平凡社新書)を出版された。
同書の副題は「「成熟の時代」の国のかたち」である。
かつて石橋湛山が、日本が欧米の列強に対抗して拡張主義の政策を批判して、日本は拡張主義に走るべきではないとの主張を「小日本主義」として掲げたが、発想の原点は通じる部分がある。
そもそも「大日本帝国」との表現自体が、日本の劣等感を象徴するものである。
自分を大きく見せるために「大日本」と自称するのである。
力のない者ほど自分を大きく見せたがるものだ。本当に力のある者は自分を大きく見せようとはしない。大きく見せようとしなくても大きい者は大きいし、小さい者は小さいのである。
鳩山氏は沖縄と福島に焦点を当てて話を始めた。
沖縄では米軍機による事故が相次いで発生している。日本政府とNHKは墜落事故を「不時着」と表現しているが、まさに大本営の行動様式である。
辺野古海岸に墜落して大破した事故を「不時着」と表現することはできない。
この沖縄でいま名護市長選挙が行われている。
米軍基地を造らせない、米国に支配され、米国に隷従する日本を脱却するには、まずは、この名護市長選挙で辺野古基地阻止を訴える稲嶺進氏を勝利させなければならない。
そのためにオールジャパンの力の結集が必要である。
福島の原発事故は今なお、まったく収束していない。
多数の甲状腺がんの発症も報告されている。
そして、そもそも、この事故の原因が特定されていないのである。
政府は津波による電源喪失に主因を帰着させようとしているが、津波ではなく地震によって事故が発生した疑いを否定できていない。
日本は世界最大級の地震大国である。この地震大国の日本が原発推進である点に根本的な矛盾が存在するのである。
日本の現状は完全なる対米依存、対米従属である。
戦後72年の時間が経過しているが、日本は日米安保条約、日米地位協定、日米合同委員会などの仕組みによって、米国の支配下に置かれている。
そして、安倍政権は自ら率先して米国の被支配者としての位置付けを積極的に肯定しているのである。
トランプ大統領は横田基地から日本に入国し、横田基地から日本を出発した。
パスポートを使わずに日本を自由に出入国するその姿は、日本が独立国ではないことを象徴するものであった。
戦後の日本は経済の大国化を目指し、その上で政治上の大国を目指し、さらに軍事上の大国を目指すという意味での「大日本主義」を追求する行動を示してきたが、いまこそ、この発想から決別するべき時機が到来していると鳩山氏は指摘する。
安倍政権が福島の事故があってもなお、原発推進に執着するのは、単に原子力村の圧力に依っているだけではなく、核大国=核武装の「夢」を捨て切れないからなのではないか。
中国や北朝鮮が脅威であるとの「扇動」が行われているが、中国や北朝鮮は、本当に「脅威」なのかどうか、十分な考察が必要である。
前原誠司国交省が尖閣周辺の対応について日中漁業協定基準を国内法基準に変更したことで尖閣海域での海上保安庁艦船と中国漁船の衝突事案が発生したが、これが尖閣問題の端緒である。
中国との摩擦を意図して拡大するよりも、中国との友好関係の構築に注力する方が、はるかに東アジア情勢の平和と安定には寄与するはずである。
北朝鮮が核開発に突き進むのは、朝鮮戦争がいまなお終結していないことに主因がある。
北朝鮮の核開発は米国に対する交渉力を高めることに目的があると考えられるのだ。
北朝鮮との武力衝突での問題解決が選択肢になり得ないことを前提に軍事ではなく、「対話と協調」によって問題解決を図ることが必要であると考える。
経済においては成長を追求するよりも、分配と公正を軸に政策のあり方を再構築する必要がある。
そして、偏狭なナショナリズムを排して、地域の平和と安定を目指す新しいリージョナリズムを中核にすることが求められている。
安倍政治に対峙する明快な考察を表現しているのが「脱大日本主義」であり、日本のすべての主権者が鳩山氏の提案に耳を傾けて安倍政治の幼稚とも言える大日本主義を正してゆく必要があると思う。
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